Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

21世紀タイプ

f:id:bbmedia:20161025191613j:plain

21世紀タイプの車と言えばどこのメーカーを思い浮かべますか。

高級スポーツカーの形はどこも似たり寄ったり、電気自動車のテスラも見かけはあまり変わりません。

ところがテスラはディーラーを持っていません。会社所有のショールームに行って試乗し、オプションはオンラインで注文します。ふつうの車ならばリコールの恐れがあった連続炎上事故の際は、ソフトウェアを変えて高速での車高調整を1インチ高く設定することによって4か月で問題解決に至りました。

それよりも驚きなのはバッテリー式電気自動車の単純な技術を使うことで車両組み立ての労働コストを極めて低くして、その結果従業員一人当たりが創出する市場価値はGMが24万ドルに対してテスラは290万ドルとのことです。業種は違いますが、創業20年足らずのスポーツ・フィットネス企業であるアンダーアーマー3Dプリンターで製造方法を革新しながら、ヘルス&フィットネスのアプリサービスを開始、マーケティングにもSNSを巧みに活用しています。

こうした企業にはいくつかルールがあるようです。例えば、

研究開発のルール=迅速にやる、研究所を出る。
製造のルール=センサーの声を聞く。
リーダーシップのルール=崇高な目的を明確に伝える。
雇用のルール=企業文化を大事にする。

などです。昔から企業の資産と言えば、人・モノ・お金・情報と言われてきました。21世紀タイプの企業は自覚の有無にかかわらず、従業員がその会社の資産の大半を担っています。優良資産かそれとも不良資産かも従業員にかかっています。ますます人的労働、情報、お金が簡単に、安く、即座に行き来する世界が実現していくなかで、常識にとらわれない発想、創意工夫、オープンな姿勢が求められる所以です。

成功を阻む要因

f:id:bbmedia:20161025191612j:plain

デジタルはごはん、データは卵焼き、デザインは幕の内、ビジネス戦略を弁当にたとえると今はこんな風に言えるのではないでしょうか。近く東京で開催される大きなビジネスカンファレンスも「デジタル×データ×デザイン」がテーマのようです。

すでにデジタルを組織に取り入れていない企業はもはやないにもかかわらず、成功している企業が少ないのはなぜでしょうか。360iのCEOは、組織にデジタルを取り入れた場合でも多くの企業が従来型の慣習・慣行(予算、人事、働き方)に固執していること。データや分析の精度が向上して高い効果を出せるようになった一方で企業リーダーや幹部が蚊帳の外になりやすいこと。デジタルで先端を目指そうとするあまり若手に責任を押し付けたり独立した専門チームに任せきりにすること。と述べています。皆さんにも心当たりがきっとあるのではないかと思います。

もちろん成功の道は必ず開けるものではありませんが、まずやるべきことはあります。それはデジタルをビジネスに成功をもたらす戦略的要因として位置づけると同時に多面的な生態系と捉え直すこと。実行面では目標と狙いを明確にして最適な人材を起用し、創造的発想力や意欲を追及する企業風土をつくることが不可欠です。

そうすれば、どんなビジネスにおいても新たなチャンスを作れるはずです。

アンチ・ダークサイド

f:id:bbmedia:20161025191611j:plain

昔からジャーナリズムには「流血沙汰はネタになる」という意識があるそうです。今も確かに人は良いニュースよりも悪いニュースのほうが記憶に残りやすいのはきっと防衛本能に根差しているからだと思います。こうした本性はインターネットの世界でさらに拡張されてしまいました。

毎月2億人のユニークアクセス数を持つハフィントン・ポストの中に「効果のあること(What's Working)」という公式プロジェクトがあります。ここでは創造的な問題解決や価値あるロールモデルの紹介だけを行っています。創業者であり、ジャーナリズムを変えたアリアナ・ハフィントン氏自身は「ポジティブなコンテンツは社会にとって良い効果を持つ」という強い信念を持っています。青二才のようなもしくは理想家すぎる考え方かもしれませんし、優等生的なコンテンツばかりだと息がつまる気もしますが、人が心底望んでいるコンテンツは人の不幸より人の幸せです。

ハフィントン・ポストの調査によれば「人は気分が明るくなる記事や、解決策が提示された記事をシェアしたがる」そうです。ビジネスやブランドにとっても鉄則です。

ドラえもんがやってくる

f:id:bbmedia:20161025191610j:plain

今後、5年から10年で人間とコンピューターとの交流が一変する?かもしれません。

それは果たして何でしょうか?答えはAR(拡張現実)。ちょっと前に話題となったグーグルグラスは残念ながら成功といえませんが、ポテンシャルは健在なようです。

多くのテクノロジーの専門家は5年以内にどんなモノの表面でもバーチャルスクリーンになるだろうと述べています。ということはたとえば実際に時計をしていなくても自分の手首を見ると時計が現れる、電卓を取り出さなくても机の上に電卓が現れるなんてことは当たり前にできそうです。

さらにAI(人口知能)の発展によって人やキャラクターが目の前に現れただけでなく、楽しい会話ができるようになるかもしれません。デバイスをいちいち持ち歩かなくてもOKならば随分と楽になるでしょう。もちろん、そこに行きつくには大きなハードルがあります。自動運転装置に匹敵する処理能力を持つセンサーと使いやすいアイウェアがもっと発展しなくてはなりません。

ドラえもんは22世紀の未来からやってきたネコ型ロボットでした。ファンタジーの世界にしかしかありえない人々のほしいものを何でも目の前に出してくれるドラえもん。どうやら21世紀中に誰もがドラえもんになれそうですね。もちろん本物ではなくバーチャルですが。

古い指標と新しいメディア

f:id:bbmedia:20161025191609j:plain

マーケターの悩みである広告の効果測定ですが、デジタルへとシフトしている今も議論が続いています。米国ではテレビの効果測定につかわれてきた年齢・性別ごとの延べ視聴率(GRP)に集約する形で、それをデジタルや屋外広告の効果測定にも応用し始めています。ニールセン社はオーンドとアーンドの両方を含めてあらゆるメディアにGRPを適用する試みを行っています。

もともとなぜ集約する必要があるのでしょうか。実は今に始まったことではないのですが、メディアをまたがるオーディエンス計測の共通基準がないからです。従来のTV中心のマスメディア時代はシンプルでしたが、それに加えてデジタルが登場し、さらにソーシャルメディアが急速に広がり、どのようにメディアのポートフォリオを組み立てればよいのか、極端に言えば、TVCMの視聴者数とYOUTUBEの視聴回数の価値換算をしたいというニーズが高まっているからです。しかし、ここで置き去りの問題があります。それは量だけでない質のパワーです。今更、GRPという効果測定の通貨のような古い指標に戻ってしまってよいのかという意見も出ているように、これから求めるべき指標はRIGHT TARGET×RIGHT TIME×RIGHT MESSAGEを測れることだと思います。

写真はたった一日で5500万人に広がったバイラルビデオです。スターウォーズファンにはもちろんですが、どれほどの広告効果となったことでしょう。

5感のデザイン

f:id:bbmedia:20161025191608j:plain

先日、ビービーメディアの元社員がやって来た時こんな会話をしました。「エレベーターを出た途端、ビービーの匂いだと思わず感じちゃいました。」「えー、変な匂いでじゃあないよね?」「いやあ、なつかしい匂いです!」

 皆さんも多くの方が気付いているように今、高級ホテルやエアラインなどでは香りをブランディングに利用しています。私は仕事柄ANAさんをよく利用しますが、ラウンジや機内ではいつも同じ他にないいい香りが漂っています。香りと記憶の結びつきはすでに証明済みです。ネガティブな体験と一緒に記憶された香りは時が経ても嫌悪感を引き起こしますし、逆に年少の時淡い記憶とともに嗅いだいい香りは大人になってもなつかしいものです。香りは強すぎてもダメというのも面白いですね。

 10年ぐらい前からセンサリー・マーケティングと呼ばれる5感の刺激が消費者の行動にどのように影響するかをテーマにした研究が盛んになってきました。ブランドの記憶は嗅覚(香り)だけでなく、視覚(色や外観)、聴覚(音や声)、触覚(感触や体感)味覚(味や食感)と無意識に結びついています。さらにこれらが組み合わさってさらに強いものになります。

企業のブランディングを考えた時、5感のデザインを単にプロダクトだけにとどまらず、コーポレートにまで広げる必要があります。ユーザー体験をベースに事業を変革し、好業績を上げているペプシコのヌーイCEOは「当社が下す重要な意思決定の大半においてデザインを考慮に入れている」と述べています。

個性をポジティブに表すならばオフィスの匂いもまんざらではありません。

クラウドカルチャー

f:id:bbmedia:20161025191607j:plain

インターネットがマーケティングの世界に出現して以来、従来の手法に加えてデジタルの進歩をマーケティングに活用することでブランディングをさらに高めていけるはずだとずっと確信してきました。ところが状況は変化しつつあります。若い人は従来型のマーケティングや広告に興味を持たなくなりつつあります。

4年前、バドワイザーマーケティングの幹部からこれから広告費のうち30%がソーシャルメディアに注がれるようになるだろうと聞いたことがあります。当時はまだ随分違和感があったと記憶していますが、もはや現実味を帯びてきました。先月発売されたHBRの中で「クラウドカルチャー」と呼ばれる現象がソーシャルメディアから生まれていると書かれていました。そして企業はこれに対抗できないと。もはや、対抗するのではなくブランドは「クラウドカルチャー」や「共鳴者」と共同しながら新しいブランディングモデルを構築する時代に入ったと指摘しています。

さらに、消費者は広告ぬきでコンテンツを消費するようにもなってきました。広告に代わる武器を持つ必要性もより高まると思います。追いかけるのではなく、人々の方が情報を求めるようにするにはという発想を持つことも大切です。登場しつつある新しいプラットフォームや、新しいテクノロジーならば、ストーリーテリングの体験とブランドマーケティングをより統合していくことも可能です。

やっかいな時代になりましたが、ブランディングに貢献するアイデアを描き続けていいきたいと思います。