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Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

データとクリエイティビティのマリアージュ

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テレビコマーシャルを制作する際に、あるアドバタイザーはビデオコンテを複数案作り、それらを消費者テストにかけて、一番スコアが高い企画案をそのまま作ろうとします。一方、一切競合や事前テストも行わず、クリエーターのコンテ案から1案を選んで、ふさわしい演出にまかすアドバタイザーもいます。どちらとも限らないケースに応じた真ん中のアドバタイザーもいます。

昔からマーケティングがアート、サイエンス、フィロソフィの3要素を持つといわれる所以の一つ、その意味は昔も今も変わりないと思います。そして今、デジタルマーケティングの時代となって改めてデータの活用が話題となっています。どうすればより想像力にデータを生かすことができるのでしょうか。それにはいくつかのポイントがあります。シェアブリーの創業者タニア・ユキ氏によれば、

① 人々がほんとうに価値として見ているものは何か、「言っていること」ではなく、実際に「行っていること」から学ぶ。

② 人々がなぜシェアするのか、その理由を理解すること、たとえば「社会性がある」、「実用性がある」、「気持ちを動かす」、「語りたいストーリーがある」

③ 今、人々を動かしているコンテンツは何か、具体例を見ること、人々に刺激を与え共有されているコンテンツを具体的に見て①と②に結び付ける。

人々はカテゴリーによってさまざまな気持ちを持ちます。金融では「刺激を受ける」、小売りでは「幸せに感じる」、自動車では「興奮する」といったコンテンツを共有しやすいそうです。先日の米国大統領選挙でトランプ氏はあれだけマスコミからの批判があったにもかかわらず、人々に対して「あなたにとって変わることがいかに価値があるか」というメッセージを個別に届けることに成功しました。そして「投票直前の世論調査=言っていること」と「実際の投票結果=行っていること」の違いを生んだのです。

アマゾン流リアルとは

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今朝、小雨のシアトルに到着しました。東京より季節が1か月ほど進んでいて街ではコートを着ている人も多く見かけます。早速、ワシントン大学近くのユニバーシティビレッジにあるamazonbooksを訪ねました。オンラインショッピングの覇者であるアマゾンがどんなリアル店舗を作るのか前から楽しみにしていました。アマゾンのイメージからすると店舗の大きさは決して大きくなく、中に入ると名前の通りそこは「本屋」、それも「街の本屋さん」でした。

つぶさに見て回るとまず本の並べ方に特徴があることに気づかされます。雑誌を除くすべての書籍は表紙を前に向けておかれているのです。これは消費者が好む本の並べ方だそうで、その分多くの本を扱うことができません。そしてすべての本には消費者スコアとコメントがつけられているのです。人生のうちで読むべき100冊をはじめ、amazon.comで選び抜かれた書籍たちです。児童書のスペースを見ると子供が本を読むことの大切さを考えていることがわかります。

さて、街の本屋さんにはないものがお店の真ん中にあります。それは何でしょうか、さまざまなkindle、新しくなったECHO DOT、amazonTV、amazonfire、話題のスターウォーズBB 8などの展示と教室です。オフライン・オンライン連携も随所に行われています。たとえばクレジットカード利用の場合、amazonの会員にはスマートフォンにレシートがメールされます。

実は何よりも印象に残ったのがスタッフの親しみやすさでした。代官山の蔦屋、アップルストアスターバックスなどにも共通する匂い。アマゾンは顔が見えない代表格でしたが、リアルの店舗を作るとやっぱりこうなるんだと実感しました。2015年の売り上げが前年比20%以上、1千億ドルを超えたアマゾンですが、このお店ではアマゾンの凄さはむしろさりげなく居心地のよい場所になっています。

今回からブログを衣替えすることになりました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

ルネッサンスは来る?

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写真はスナップチャットの屋外広告です。日本人としてはオバQを想像してしまいますね。今回はスナップチャットをちょっと脇に置いて屋外広告のお話しです。

 マグナ・グローバル(Magna Global)社の調べによれば、米国では屋外(OOH)広告は既存メディアの中で、昨年に唯一、広告収入が伸びていました。2014年が70億ドルだったのに対し、2015年は73億ドルに到達した見通し(OOHと映画館の両方で計算)これはいったいどういう理由なのでしょうか。

 ひとつはテクノロジーとくにモバイルとの親和性が良いことです。ニューヨークの路上を見渡せば、「LinkNYC」というプログラムを介した新しいデジタル看板が多数目に入ります。

ニューヨーク市はこのプログラムで、最終的には7,500台以上の公衆電話を無料のWi-Fiキオスクに交換していく予定です。

 たとえば、ビールのクアーズ・ライト(Coors Light)は、キオスクに掲示した広告で、通行人に音楽認識アプリ「シャザム(Shazam)」を見るよう促します。そしてモバイルで同アプリを開くと、近所で最も検索されている曲のリストが表示されます。さらにモバイル広告から、クアーズ・ライトを買える最寄りの店を案内するといった具合です。

 さらにデジタル広告の悩ましい問題である広告詐欺と広告ブロックに今のところほぼ無関係であることです。スナップチャットのこの看板を見れば明らかです。ソーシャルプラットフォームの急先鋒が看板広告とは実に素敵な組み合わせです。

NYの定番

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例年より約3週間早く、只今ニューヨークに滞在しています。80%は定番、20%は新たな分野の新しい情報を収集すべく、定番+新鮮を心掛けて毎年の訪問はかれこれ16年になります。 

さて、今回は定番の部分をひとつ紹介させていただきたいと思います。宿泊するホテルについてです。ヒルトンミッドタウン、実は父とともに初めて米国訪問した15歳の時と同じホテルです。1972年エルビスがマディソンスクエアガーデンにて公演を行った際はこのホテルの最上階をすべて借り切ったことは有名です。デジタルマーケティングの最大のイベントであったadtechもここでミレミアムのころ何年か開かれました。

しかし、躯体はもう50年以上経過しました。ということで館内はシステムも含めてつい最近大改装されました。ニューヨーカーの友人からなんでそんなダサいホテルにいつも泊まっているのかと聞かれ、推薦してもらったソーホーのホテルに一度滞在したのですが、また、戻ってしまいました。理由はロケーションの良さ(どこでも歩きと地下鉄)、机の大きさ(仕事のしやすさ)、そして無形の思い出(父親とともに宿泊)。あとはやはり価格とサービスのバランスでしょうか。ホテル業ともっと関係があればきっと違ったと思うのですが、16年間を振り返ると自分にとってはまさにニューヨーク出張の定番と言えます。

ビジターには館内・周辺の詳細情報は居心地に直結します。今回、いつも助かっていた朝刊サービスがなくなりました。他の人々のホスピタリティはともかくフロントの対応は相変わらずとても良いとは言えません。

ふと突然、江戸時代の旅人にとって定宿は今よりはるかに深い思いがあったのではと頭をよぎりました。

ハイパーアダプション

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自動運転、ドローン、3Dプリント、半自立型のヘッドレスロボット、VR、そして何よりも身近にあるスマホの進化に接するうちに最近では何事にもそんなに驚かなくなってしまいました。今の消費者はハイパーアダプションになりつつあります。

一方でAI、センサー、位置情報、画像認識などのデジタル技術が同時に高まることで加速度的に新しいテクノロジーが生まれるようになりました。今のビジネスではわずかなコストでイノベーションが可能となり、多くの人が参加しています。

ハイパーアダプションの時代になると消費者の関心→購入意志決定→行動までの期間が短くなります。顧客の選択の自由はさらにコミュニケーションの承認にまで広がります。情報過多によってどのブランドに通知を許可するのか、つきあう相手を絞ろうとします。

これはもう広告ではなく、関係性の競争です。洗濯機についたアマゾンダッシュは消費者の洗濯という行為に伴う関係を所有しているのです。今までのマーケテングであれば、「お客様にあう商品を何百種類をそろえています」だけでよかったのですが、これからはそれまでの履歴を把握して、「お客様の好みを理解しぴったりのものを提案します」となっていくでしょう。

ハイパーアダプション時代においてブランドが顧客との関係性を構築したいならば、顧客がブランドに求めるサービスをまず考えて実行しなければなりません。

進化を超える発想

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先日ジムでトレーニング中にシューズの底がはがれてしまいました。もう、10年以上使っていて靴底がはがれるのもこれで3回目です。修理をしてまた使いはじめたのですが、家族からは耐用年数がとっくに経っているから新しい靴を買ったらと言われてしまいました。ということで週末にスポーツショップで新色ニューシューズをゲットしました。

履いてみて驚いたのは軽さと弾力性、それに加えてのフィット感です。見かけはほとんど変わりませんが、10年の進化を感じずにはいられません。スポーツシューズの世界を見る限り、消費者の嗜好の変化に対応するだけでなく、スポーツの広がりを創造し、3Dプリンターをはじめとした新たな製造を生み出し、デジタルのアプリやリアルなスポーツクラブを通じたエンゲージメントを展開しています。

一方、テレビの世界はどうでしょうか。確かにテレビのハードウェアは今も進化を続けています。放送形態もバリエーションが増えました。しかし、テレビ広告は革新どころか消費者の変化についていけていないと思います。長さひとつをとってみても15秒、30秒がほとんどで50年前と変わりません。米国では最近「テレビ広告がテレビ広告を殺す」という考えがあるようです。

コマーシャルの量を含めて従来のテレビ広告のあり方を新しい発想で作り直す動きが始まっています。

筋金入り

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広告で消費者にリーチすることがだんだん難しくなっている中、従来にも増して工場見学やイベント等にブランドの関心が高まっています。

ロンドンから電車で2時間あまりバーミンガム郊外ボーンビルにキャドバリー社の工場と元の本社があります。確か「チャーリーとチョコレート工場」という映画のモデルにもなったところです。日本ではキャドバリー社のチョコレートになじみがやや薄いのでご存知の方も少ないかもしれませんが、ここに1990年に作られた年間50万人が訪れるキャドバリーワールドと呼ばれる施設があります。

工場見学ツアーは予約制、料金は大人16ポンド、4歳以上の子供12ポンドで有料です。まず、カカオを知るうえからアステカのジャングルからツアーはスタートします。ディズニーランドまでを彷彿する楽しいアトラクションや映像を交えながらの行程に工場ラインの見学が組み込まれています。さらにデモンストレーションエリア、ボーンビルエクスペリエンスと続きます。生チョコの実演や来場記念となるグリーンバックの合成写真コーナーもあります。もちろん、工場ライン以外は撮影も自由です。トータルで2時間のツアー以外には創業者ジョン・キャドベリーのミュージアム、屋外の遊戯施設と4Dのチョコレート体験劇場、手品や腹話術などのイベント会場も随時開催されています。ここは工場見学の枠を大きく超えたまさにブランド体験施設です。

バーチャルな工場見学までもが実現できるようになった今、ブランド体験の幅は大きく広がろうとしています。キャドバリーワールドはその原点を私たちに教えてくれます。