Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

スマート化第2章へ

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ひと昔前スマートといえば「スリム、痩せている」でしたが、今は「賢い」という意味にすっかり変わりました。なんといってもスマートフォンスマホ」の影響でしょう。スマート化はいたるところで進んでいます。ウーバーの場合はドライバーがスマートフォンを所有することに目をつけて車をスマート化しました。イオビーム(Iobeam)の共同創業者でCEOアジャイ・クルカルニ(Ajay Kulkarni)氏は「人はウーバーのことをネット対応の車だとは考えない。サービスとしての交通手段だと考える」と述べています。

IOTの必須要件はインターネットに接続することですが、そこにAIが加わったことでスマート化のステージが変わったと感じています。アマゾンの「Echo」ではふと思いつく簡単なオーダーであれば近いうちに何でも応えられるようになるでしょう。実際にアレクサの女性の声によるサービスが日本で始まるとブランドはうかうかしていられません。消費者に名前を憶えてもらうことが再び重要になるはずです。なぜなら名前がでないとアマゾンのおすすめが買わされてしまうからです。

先日スターバックスが発表した「My Starbuck's Barista」のベータ版はブランド自身が行うスマート化第2章のサービスです。デモの映像を見たところ、チャットボット機能を備え、アプリを通じて音声認識のチャットかテキスト入力で複雑なマニアチックな注文も受けられるサービスです。現在はテスト中ですが、夏から米国で本格的なサービスを開始するそうです。こうしたサービスでも始まるとあっという間に当たり前になってしまうのが今の世の中です。

ネット対応によってモノを単にスマート化すると考える発想から、スマート化はサービスの一要素だと理解する発想にシフトする中、ブランドはますますサービス・ファーストの思想を持たねばならないと感じます。

 

 

ビッグよりスモール

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広告界で知らない人がいないであろう往年のキャンペーンに「Thinkスモール」があります。米国で大型のビッグな自動車が主流だった1959年、まだ敗戦国のイメージが残っていたドイツの小型車フォルクスワーゲンですが、見かけよりも中身、人の生き方やモノの見方の差別化を見事に表したものでした。
データの世界はどうでしょうか。現在もてはやされているビッグデータは確かに貴重なインサイトを提示しますが、ウェブは私たちの本当の姿ではなく、それをキュレーションして理想化したものです。ビックデータとAIを活用すれば「パターンを見つけて何かを解き明かすこと」は人間以上のパフォーマンスを発揮すると思います。最適化はアルゴリズムにまかせるほうが良いでしょう。しかし、その発見の中に何を持ち込むか、それを行うのは人間です。

昨年出版されてマーケティング本として高い評価を受けているマーチン・リンドストローム著の「SMALL DATA」では、著者がロシア、中国、ブラジル、サウジアラビア、オーストリアなど各地に足を運び、様々な問いの答えを探しています。中国人はなぜベッドカバーを使わないのか。冷蔵庫に貼るマグネットに対するロシア人の愛着にはどれだけ大事なことなのか。ヨーロッパに住む10代の少女は毎朝6時から6時半まで何をしているのか……。ビッグデータでいっぱいになったプールの中では、人々の生活に関するヒントがたいてい日の目を見ずに埋もれているのです。たくさんのデータが得られるようになるとさらにヒントは埋もれてしまうに違いありません。

人は常に不可能なことを夢見てそれをできるようにすることを考えてきました。ブレイクスルーを目指すならば、意味のあるスモールデータを探してそれをビックデータと結び付けるほうがよさそうです。

 

来年のクリスマスプレゼント

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2016年も残り僅かとなりました。毎年この時期に思うことですが、クリスマスから大みそか、そしてお正月と1週間足らずで街の雰囲気は一変します。案外日本人は気持ちの切り替えが上手なのかもしれません。

さて、今年もデジタルマーケティングの動向においてめまぐるしい変化が起きました。米国ではいよいよ従来のTV広告費がデジタル広告費に抜かれる臨界点に達しています。今回は来年の見通しについてテクノロジーストラテジスト、マイケル・ウルフ氏が「WSJDive」で述べた業界の展望について一部をご紹介したいと思います。

まず、驚いたことは今後3年間でグーグルとフェイスブックが、デジタル広告に対する新たな支出1ドルのうち75セントをおさえるようになるとのこと。2社以外でもアップル、アマゾン、ネットフリックス、マイクロソフトなどいわゆる「デジタル門番」がますます富を増やしていくだろうと予想しています。コンテンツ発見を支配する一握りの寡占企業がさらに力を強めて、個々のアプリメーカーはコストの増加や、消費者の減少に見舞われるようになります。さらに驚いたことがあります。それはフェイスブックが今年中にウェブトラフィック全体でグーグルを追い越すとみられると述べたことです。インターネットの変化を象徴する事象ですね。大手は大手で大競争に見舞われているのです。

そんな中で皆が次に来ると仕掛けているジャンルがメッセージング・サービスです。ウルフ氏によれば過去半年間で大手はこぞって何らかのチャットボットやメッセージングアプリもしくはその両方を立ち上げているそうです。現状のボッドはまだ発展途上ですが、AIの進展とともに、情報検索、コンテンツ提供、Eコマース、アラーム設定、企業へのリクエストや意見など急速な進化が見込まれます。

消費者にいかに接近するか、来年も柔軟な気持ちをもって臨まねばなりません。

 

データとクリエイティビティのマリアージュ

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テレビコマーシャルを制作する際に、あるアドバタイザーはビデオコンテを複数案作り、それらを消費者テストにかけて、一番スコアが高い企画案をそのまま作ろうとします。一方、一切競合や事前テストも行わず、クリエーターのコンテ案から1案を選んで、ふさわしい演出にまかすアドバタイザーもいます。どちらとも限らないケースに応じた真ん中のアドバタイザーもいます。

昔からマーケティングがアート、サイエンス、フィロソフィの3要素を持つといわれる所以の一つ、その意味は昔も今も変わりないと思います。そして今、デジタルマーケティングの時代となって改めてデータの活用が話題となっています。どうすればより想像力にデータを生かすことができるのでしょうか。それにはいくつかのポイントがあります。シェアブリーの創業者タニア・ユキ氏によれば、

① 人々がほんとうに価値として見ているものは何か、「言っていること」ではなく、実際に「行っていること」から学ぶ。

② 人々がなぜシェアするのか、その理由を理解すること、たとえば「社会性がある」、「実用性がある」、「気持ちを動かす」、「語りたいストーリーがある」

③ 今、人々を動かしているコンテンツは何か、具体例を見ること、人々に刺激を与え共有されているコンテンツを具体的に見て①と②に結び付ける。

人々はカテゴリーによってさまざまな気持ちを持ちます。金融では「刺激を受ける」、小売りでは「幸せに感じる」、自動車では「興奮する」といったコンテンツを共有しやすいそうです。先日の米国大統領選挙でトランプ氏はあれだけマスコミからの批判があったにもかかわらず、人々に対して「あなたにとって変わることがいかに価値があるか」というメッセージを個別に届けることに成功しました。そして「投票直前の世論調査=言っていること」と「実際の投票結果=行っていること」の違いを生んだのです。

アマゾン流リアルとは

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今朝、小雨のシアトルに到着しました。東京より季節が1か月ほど進んでいて街ではコートを着ている人も多く見かけます。早速、ワシントン大学近くのユニバーシティビレッジにあるamazonbooksを訪ねました。オンラインショッピングの覇者であるアマゾンがどんなリアル店舗を作るのか前から楽しみにしていました。アマゾンのイメージからすると店舗の大きさは決して大きくなく、中に入ると名前の通りそこは「本屋」、それも「街の本屋さん」でした。

つぶさに見て回るとまず本の並べ方に特徴があることに気づかされます。雑誌を除くすべての書籍は表紙を前に向けておかれているのです。これは消費者が好む本の並べ方だそうで、その分多くの本を扱うことができません。そしてすべての本には消費者スコアとコメントがつけられているのです。人生のうちで読むべき100冊をはじめ、amazon.comで選び抜かれた書籍たちです。児童書のスペースを見ると子供が本を読むことの大切さを考えていることがわかります。

さて、街の本屋さんにはないものがお店の真ん中にあります。それは何でしょうか、さまざまなkindle、新しくなったECHO DOT、amazonTV、amazonfire、話題のスターウォーズBB 8などの展示と教室です。オフライン・オンライン連携も随所に行われています。たとえばクレジットカード利用の場合、amazonの会員にはスマートフォンにレシートがメールされます。

実は何よりも印象に残ったのがスタッフの親しみやすさでした。代官山の蔦屋、アップルストアスターバックスなどにも共通する匂い。アマゾンは顔が見えない代表格でしたが、リアルの店舗を作るとやっぱりこうなるんだと実感しました。2015年の売り上げが前年比20%以上、1千億ドルを超えたアマゾンですが、このお店ではアマゾンの凄さはむしろさりげなく居心地のよい場所になっています。

今回からブログを衣替えすることになりました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

ルネッサンスは来る?

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写真はスナップチャットの屋外広告です。日本人としてはオバQを想像してしまいますね。今回はスナップチャットをちょっと脇に置いて屋外広告のお話しです。

 マグナ・グローバル(Magna Global)社の調べによれば、米国では屋外(OOH)広告は既存メディアの中で、昨年に唯一、広告収入が伸びていました。2014年が70億ドルだったのに対し、2015年は73億ドルに到達した見通し(OOHと映画館の両方で計算)これはいったいどういう理由なのでしょうか。

 ひとつはテクノロジーとくにモバイルとの親和性が良いことです。ニューヨークの路上を見渡せば、「LinkNYC」というプログラムを介した新しいデジタル看板が多数目に入ります。

ニューヨーク市はこのプログラムで、最終的には7,500台以上の公衆電話を無料のWi-Fiキオスクに交換していく予定です。

 たとえば、ビールのクアーズ・ライト(Coors Light)は、キオスクに掲示した広告で、通行人に音楽認識アプリ「シャザム(Shazam)」を見るよう促します。そしてモバイルで同アプリを開くと、近所で最も検索されている曲のリストが表示されます。さらにモバイル広告から、クアーズ・ライトを買える最寄りの店を案内するといった具合です。

 さらにデジタル広告の悩ましい問題である広告詐欺と広告ブロックに今のところほぼ無関係であることです。スナップチャットのこの看板を見れば明らかです。ソーシャルプラットフォームの急先鋒が看板広告とは実に素敵な組み合わせです。

NYの定番

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例年より約3週間早く、只今ニューヨークに滞在しています。80%は定番、20%は新たな分野の新しい情報を収集すべく、定番+新鮮を心掛けて毎年の訪問はかれこれ16年になります。 

さて、今回は定番の部分をひとつ紹介させていただきたいと思います。宿泊するホテルについてです。ヒルトンミッドタウン、実は父とともに初めて米国訪問した15歳の時と同じホテルです。1972年エルビスがマディソンスクエアガーデンにて公演を行った際はこのホテルの最上階をすべて借り切ったことは有名です。デジタルマーケティングの最大のイベントであったadtechもここでミレミアムのころ何年か開かれました。

しかし、躯体はもう50年以上経過しました。ということで館内はシステムも含めてつい最近大改装されました。ニューヨーカーの友人からなんでそんなダサいホテルにいつも泊まっているのかと聞かれ、推薦してもらったソーホーのホテルに一度滞在したのですが、また、戻ってしまいました。理由はロケーションの良さ(どこでも歩きと地下鉄)、机の大きさ(仕事のしやすさ)、そして無形の思い出(父親とともに宿泊)。あとはやはり価格とサービスのバランスでしょうか。ホテル業ともっと関係があればきっと違ったと思うのですが、16年間を振り返ると自分にとってはまさにニューヨーク出張の定番と言えます。

ビジターには館内・周辺の詳細情報は居心地に直結します。今回、いつも助かっていた朝刊サービスがなくなりました。他の人々のホスピタリティはともかくフロントの対応は相変わらずとても良いとは言えません。

ふと突然、江戸時代の旅人にとって定宿は今よりはるかに深い思いがあったのではと頭をよぎりました。