Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

隠れた秘訣

昔から「百聞は一見に如かず」という言葉があります。消費者の注意関心持続時間が金魚以下になっているとさえ言われている中で、ブランドゆかりの地や工場、もしくは都会に出張型体験スポットを用意してブランドのストーリー、製造工程、価値を体験してもらい、記憶にとどめてもらおうとする作戦はもはや当たり前となりました。どのようなエモーショナルな体験・経験をつくれば、人々は忘れないのでしょうか。

まずひとつは消費者がその体験をする前と後、つまりビフォア、アフターでどう変わるかをきちんと考え具体的な目標をたてることです。たとえば、フォードの「マニュファクチャリング・イノベーション・シアター」の訪問客は、気軽な観光客でフォードに対しての期待は低いのですが、顧客視点のイノベーション、製造技術への熱意を目のあたりにして、熱烈なフォードファンに変容します。ここでは持ち帰ってもらうテーマを最終的にひとつにしたほうがベターです。

2番目はブランドのストーリーが明確に理解できるようにすること、消費者に何を体験させ、印象づけたいのか。ストーリーを作るうえでの大敵は、ブランド側の押し付けが退屈なものにしてしまうことです。体験型コンテンツが増えた現在、広告と同じく、想定内の体験や経験では心に響きません。そしてもう一つは体験を忘れない、記憶に残る仕掛けづくりです。パーソナルな体験や体験者同士の結びつき、記念撮影や思い出に残るオリジナルグッズはもちろん、時間を越えたブランドと体験者の結びつきを作る工夫などです。

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でも何といっても誰といつ行ったのかを良き思い出として蘇らせることこそ隠れた秘訣のような気がしますね。写真は2016年夏休みに訪問したロンドンから2時間バーミンガム郊外にあるキャドバリーワールドです。こちらは映画「チャーリーとチョコレート工場」のモデルになったともいわれています。

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貴方は横派、それとも縦派?

これから広告はさらにどう変わっていくのか、「よりインタラクティブで、よりモバイルで、よりデータ主導で、そしてより会話的で」とテッド・スタジオ社のエミ・ギャル氏は述べています。今回はその中のひとつ、「よりモバイルで」について述べてみたいと思います。

先日男女150人以上の大学生の授業にて「皆さん、この中でスマホを持っていない人はいますか?」と聞いた答えはなんとゼロでした。iphoneが誕生して満10年、当初ここまで来るとはおそらく誰も予想しなかったのではないでしょうか。未来の広告はよりモバイルにあわせていくことになると思われます。ここで気になるのがモバイルの縦型画面です。縦長の広告のブランド想起率は普通の広告よりも83%高いとのこと、巷ではサイネージをはじめ縦長動画が増えてきました。

映像が生まれるずっと以前、文字が生まれたころから人間は縦書と横書の両方で情報を得てきました。面白いことに本や雑誌や新聞といった紙媒体は縦長が主流、演劇や映画、そしてTVの画面は横長です。携帯電話が登場したばかりのころは電話が主で片手で持つことから当然縦長でした。ところが今、電話はほとんど使われず、文字すらもだんだん読まれなくなって映像が主体となりつつあります。

こうなると映像も縦長が増えていくのでしょうか?確かに若者はスマホの向きをいちいち変えたりしないので縦長の映像クリエイティブをより意識しなければなりませんね。特にスマホ・オンリーのクリエイティブは思い切って割り切ることも必要です。一方、年長者にはやっぱり横型の映像の方が好まれるような気がします。貴方はどちらですかと聞かれてひとつ思うことがあります。それは人の目の配置。人間の目は横についているのは横には視野が広く、縦は横に比べて弱いからです。遠くを見る時はなおさらですね。

やっぱり映像は横型に決まっている!と考える所以です。

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2017ほんかつ

街を見るとクリスマスが過ぎ去り一気に師走のモードに入りました。ゆく年を感謝の心をもって振り返り、来る年を新たな気持ちで迎える準備で追われている方も多いのではないでしょうか。

さて、今年最後のブログは一年を振り返ってビービーメディアで行っている「ほんかつ」をご紹介しようと思います。2年半前、全社員がワンフロアに集まったタイミングとともにさまざまなプロジェクトをたちあげました。そのひとつが「ほんかつ:本読み活動」です。経験豊かなマーケターと研究熱心な人事マネジャーが交代で課題図書を選定して、月1夕方18時半から1時間読後感をもとにディスカッションします。毎回必ず社長は参加するので新入社員や普段話すことが少ないメンバーと接することができます。自分の好みからでは決して手にとらない本もあって新しい世界を垣間見れる機会ともなっています。

例えば「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由:栗原類著」は今年の印象深い一冊でした。「創意工夫、マイナスをプラスに、弱点を知る」、誰もが輝くためのヒントですね。

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人の才能をどのように引き出すか、自信を育むかで言うと「世界中で一番クリエイティブな国民性を持った国はどこか」の質問に対して世界中の人々がトップで日本と答えたのに対して日本人だけが日本を最下位にしたという調査結果があるそうです。自信過剰は禁物ですが、健全な自信を育めないと幸せになれないような気がします。周りの人や社会や世の中が良くならないと自分も自分たちのビジネスも長期的には成り立ちません。

来年も皆で忌憚なくディスカッションできる知的好奇心を追求できる場として「ほんかつ」を続けていきたいと思います。

新たなる求人

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AIの登場とともに将来自分の仕事はどうなっていくのだろうと思う人が増えているのではないでしょうか。来年、米国ではいよいよ自動運転による無人タクシーが稼働し始めるようです。

さて今回は広告・マーケティング業界においてこれからデジタルに強い人材として求められる職種をいくつかご紹介しましょう。これらの職種は10年前にはいずれもなかった仕事です。まず筆頭はCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)です。2020年までにCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)のうち40%はCXOの部下になる見通しとのこと。次にVRエディター、なんとリンクトインには1400人のVRエディターの求人があるそうです。3番目はデータサイエンティスト、機械学習人工知能・データ最適化に関する理解をもった人です。2020年までに2000億ドルの産業にまで発展する見込みとのこと。4番目はオムニチャネル小売りストラテジスト、この肩書はまだ登場したばかりですが、リンクトインの求人情報では400人がオムニチャネル・マーケティングという説明で掲載されているようです。要するにEコマースと小売店舗の両方で小売り経験がある人のことです。最後は今注目の音声スキル開発者。アマゾンアレクサのスキルはすでに1万5千以上開発されています。コンピュータサイエンス言語学の学位とJavaScriptPythonを使いこなせるプログラミング知識を持った人です。

実はまだまだこのほかにも続々と新しい肩書が登場しています。

これからのマーケターは「自分はどんなテクノロジーやデータに対して意欲を感じるか」を真剣に考える必要があります。でも、忘れてはいけないのはツールはどんどん変貌していくこと。デジタル分野ではなおさらです。大事なのは一分野の専門家にとどまるだけでなく、デザイン思考を理解して、消費者のブランド体験をデザインできる人になれることだと思います。

 

BとCが接近中

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先週から今週にかけて季節が一気に2か月以上進んだような気がします。総選挙の投票日も近づいてきました。一国民としてフェイクニュース(デマ)やプロパガンダ絵空事な政策)に惑わされることがないようにしなければと思います。

さて、先日B2Bフォーラムに初めて参加してきました。今回はB2Bマーケティングのトレンドについて少し触れたいと思います。アップル社のCEOであるティム・クック氏は「これまではB2CでやるかB2Bでやるかを選ばなければならなかった。今は状況が少し違う。エンタープライズ(企業)とは消費者の集合体である」と述べています。

今、多くの先進的な企業経営者は社員の幸せと生産性を考慮して、働く環境や働き方を改革しなければならないと考えています。その結果、より個人中心で創造性や生産性を引き出すことが求められるようになってきているのです。セキュリティなどの課題はあってもこの流れはしばらく変わらないと思います。

もともとデジタルマーケティングはターゲットを絞ることが得意ですからB2Bとの相性が良いのでB2Cより有利です。特にB2Bではサーチが効くので呼び込めむ力を持ったコンテンツが必要です。今まで視聴者のエンゲージメントやブランドのストーリーなどあまり重視してこなかったB2B企業も気づき始めています。B2BにもB2Cのマーケティング発想が入り始めたと言えるでしょう。米国の調査によれば、「成功している企業はそうでない企業より49%多くビデオを活用している」というデータもあります。また、言うまでもなくFacebook、LinkedinなどのSNSがエンタープライズの世界にもすでに入っています。動画の用途はさまざまですが、制作のクオリティも上がってくると予想します。

個人と企業の垣根が低くなった中で、B2Bマーケティングはこれからますます面白くなっていくと思います。

不信に向き合う

北朝鮮のミサイル発射のニュースを聞く度に日本人全体の気分が何%か落ち込むような気がします。嫌なムードが世相にじわじわと表れて人々の笑顔が失われないよう願うばかりです。実はグローバルで見ても現代は不安と不信感の時代、マズロー欲求の底辺である安全、安心、安らかな生活などが今ふたたび、最優先事項となりました。

これはブランドの行動にとっても重要な影響を及ぼします。ヘイトスピーチやフェイク記事、倫理やモラルを逸した不適切なコンテンツとブランドが近づくことは「ブランドエクイティの毀損」につながりかねません。それはなぜか、ブランドへの信頼を傷つけるからだと思います。米国では望ましくないサイトをブラックリスト化するのではなく、望ましいと考えるチャンネルをホワイトリスト化する方向に移行しつつあります。

J&J社のデボラ・バス氏はブランドマーケティング成功の判断(KPI)は何かと聞かれて①ブランドの特徴(機能+感情)をより築けたか。②本業を通じて社会に貢献する企業理念を表現できたか。と答えています。D・アーカー氏による1991年に書かれた本の中で分類された(ブランド認知、ブランド連想、ブランドロイヤリティ、知覚品質)がブランド資産を高めることに通じるという基本は変わっていません。大切なのは目先の目的や手段先行(目立ちたい、拡散させたい、ターゲットに効率的に届けたい)となって本来目指すべきエクイティを見失わないようにすることです。

一方、ブランドは完璧ではありませんし、スピードと変化が激しい状況にあってますます試行錯誤していかねばなりません。むしろ、スープにハエが入ったらすぐに取り除くことが今もっとも大切なのではないでしょうか。

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ブランディド・〇〇

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ブランディド・〇〇が花盛りです。まず、ブランディド・エンターティメント。この言葉は「映画やTV番組、ゲームなどのエンタテイメント・コンテンツと連動したブランドコミュニケーションの手法のこと」と一般的に定義されています。これが注目されるようになったのは消費者が広告を見なくなりつつある中、消費者がより関心を抱く魅力あるコンテンツがますます重要という考え方が背景にあります。

「手法」とある通り、この言葉が生まれるずっと前からこの手法はすでに存在していました。半世紀前の、007ゴールドフィンガーに登場したアストンマーチン男はつらいよでとらやのみんなが飲んでいたビール、など今も記憶に残っています。インターネット時代に入った後、もっとも印象深かったのは2001年に登場したBMWフィルムズでした。まだ、スマホはおろかユーチューブすらなかった時代に全世界で年間1400万回も見られたと言われています。ガイ・リッチーをはじめとする7人の有名監督を起用した大迫力のカーチェイスのショートムービーでした。最近ではペプシマックスによる2012年から大ヒットしているオンライン動画アンクル・ドリューが秀逸です。アンクル・ドリューは若者たちのバスケに口を出す老人なのですが、なんとNBAスター選手が特殊メイクで老人に扮し、びっくりするスーパープレイをする痛快なストーリーです。ペプシコはこれをもとにした長編映画を計画しているとのことです。

次にブランディド・コンテンツ。こちらの定義はあいまいながら、「従来の広告の枠を超えてブランドと消費者と社会をつなぐメッセージをもった創作物」と私は考えています。ブランディド・エンターティメントで成功するにはタイアップにせよ自社制作にせよ相当な資金が必要で、そう多くの企業ではできません。一方で、ブランディド・コンテンツはアイデアと実現力があれば小ぶりであっても素晴らしいコンテンツを創れる可能性にあふれています。ジョンソン&ジョンソンの「7minute wellness」はその好例です。妊婦の健康管理をサポートするアプリですが、テクノロジーがドライバーとなって可能性を広げています。ビービーメディアはこの分野においても卓越したプロダクションになりたいと願っています。