Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

データと向き合う意味

 

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マーケティングにおいてデータはずっと昔から活用されてきたことは言うまでもありません。このところデータがさらに注目されているのはデジタルによって今までできなかったあらゆる事象がデータ化され、分析を通じて効率を高めたり、インサイトを発見できたりすることへの期待です。そして、AIの登場によってさらにデータの重要性が増しています。

今回は現代のデータについての課題と特徴、マーケターにとってこれからの付き合い方について述べることにします。まずもって現代のデータと昔のデータとの違いは量の問題です。1ギガバイトをレンガ1個とすると毎日万里の長城が14個作られる量が生まれているとのことです。これは多くの方がすでに語っているとおり、あまりに多すぎます。次に横たわるのがフォーマット不統一の現状です。多種多様なデータを持っていてもそれぞれAIにすぐには読み込めません。アンケート、動画、SNS,IOT、位置情報、、。3番目は速度の問題です。トランプ大統領のツイートは数秒で全世界のフォロワーに伝わります。データはすぐに更新されて古くなっていきます。そして4番目はフェイクニュースにみられるはたしてデータが正確かどうかあいまいであることです。データ量が増えた分、不正確なデータも世の中に多く流通しています。最後にデータの寡占化の問題があります。グーグル、アマゾン、フェイスブックをはじめ消費者のデータを一部の巨人がグローバルに独り占めしています。こちらは潮目が変わりつつある気がしますが。

こうした中、企業は自社のマーケティング活動でどのようにデータと付き合ったらよいのでしょうか。まず、自身にとって重要なデータを見つけることが重要です。データでAIを鍛えていきながら一方でデータのスクラップ&ビルドをしていくことになるかと思います。見つけるまでやらねばなりません。もっとも重要だからです。また、今後は機械学習しやすいようなデータの分類の仕方をいかにつくるかも検討する必要があります。スピードに対応するにはOne to ManyからMany on Oneの考え方がより主流になるでしょう。「アルゴリズムを作る側にいるか、それをただ利用するだけか、どちらもありか、」それぞれの企業が真剣に考える時期に来ていると思います。

ネットTVから見えるもの

今年のアカデミー賞では辻一弘氏が日本人として見事メークアップ&ヘアスタイリング賞を獲得しました。一方、TV(ABC)の視聴者数は昨年と比べて19%ダウンしました。1月に(CBS)で放送されたグラミー賞の視聴者数も昨年に比べて24%も落ち込んで1980万人だったそうです。もっとも視聴者の多いスーパーボール(NBC)でも2009年以来もっとも少ない視聴者数でした。ひとつの要因はネットを介してストリーミング配信する生中継のテレビが以前よりもはるかに安定して見られるものになったからだと思います。

米国では若者を中心に従来のケーブルTVからネットTVに移行しつつあります。人気番組をすべて見れるチャンネル数と必要な時に必ずつながるという安心感を除くとネットTVには以下の利点があります。まず、基本ポータブルであること。次に、レコメンデーションがあること。第3にメニューやナビが使いやすいことです。3番目の使いやすさで言うとたとえば、ネットテレビのサービスは一般のTV放送よりもインターフェイスがデザイン的にモダンです。中でもYouTube TVはライブ配信と、膨大な録画番組のライブラリーがあるので、今放送されているTV番組を見て、それから関連する過去の番組を見るなど、好きなように楽しめるよう設計されています。

米国と日本ではTV放送の業界構造が違うのでネットTVの意味が人によって異なるかもしれません。また、米国ネットTVの大手5社と言われるYouTubeTV、Hulu、Vue、DirecTV Now、Sling TVよりもネットフリックス、アマゾンビデオの影響のほうが大きいような気がします、いずれにせよ現状の弱点が小さくなって、通常のTV放送よりも優れたサービスが提供されるようになればネットを介して視聴するTVへの移行がより進むでしょう。これからのTV視聴を考えるうえでは生中継とオンデマンドと録画番組をどのようにブレンドしていくかの発想が大切な気がします。

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隠れた秘訣

昔から「百聞は一見に如かず」という言葉があります。消費者の注意関心持続時間が金魚以下になっているとさえ言われている中で、ブランドゆかりの地や工場、もしくは都会に出張型体験スポットを用意してブランドのストーリー、製造工程、価値を体験してもらい、記憶にとどめてもらおうとする作戦はもはや当たり前となりました。どのようなエモーショナルな体験・経験をつくれば、人々は忘れないのでしょうか。

まずひとつは消費者がその体験をする前と後、つまりビフォア、アフターでどう変わるかをきちんと考え具体的な目標をたてることです。たとえば、フォードの「マニュファクチャリング・イノベーション・シアター」の訪問客は、気軽な観光客でフォードに対しての期待は低いのですが、顧客視点のイノベーション、製造技術への熱意を目のあたりにして、熱烈なフォードファンに変容します。ここでは持ち帰ってもらうテーマを最終的にひとつにしたほうがベターです。

2番目はブランドのストーリーが明確に理解できるようにすること、消費者に何を体験させ、印象づけたいのか。ストーリーを作るうえでの大敵は、ブランド側の押し付けが退屈なものにしてしまうことです。体験型コンテンツが増えた現在、広告と同じく、想定内の体験や経験では心に響きません。そしてもう一つは体験を忘れない、記憶に残る仕掛けづくりです。パーソナルな体験や体験者同士の結びつき、記念撮影や思い出に残るオリジナルグッズはもちろん、時間を越えたブランドと体験者の結びつきを作る工夫などです。

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でも何といっても誰といつ行ったのかを良き思い出として蘇らせることこそ隠れた秘訣のような気がしますね。写真は2016年夏休みに訪問したロンドンから2時間バーミンガム郊外にあるキャドバリーワールドです。こちらは映画「チャーリーとチョコレート工場」のモデルになったともいわれています。

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貴方は横派、それとも縦派?

これから広告はさらにどう変わっていくのか、「よりインタラクティブで、よりモバイルで、よりデータ主導で、そしてより会話的で」とテッド・スタジオ社のエミ・ギャル氏は述べています。今回はその中のひとつ、「よりモバイルで」について述べてみたいと思います。

先日男女150人以上の大学生の授業にて「皆さん、この中でスマホを持っていない人はいますか?」と聞いた答えはなんとゼロでした。iphoneが誕生して満10年、当初ここまで来るとはおそらく誰も予想しなかったのではないでしょうか。未来の広告はよりモバイルにあわせていくことになると思われます。ここで気になるのがモバイルの縦型画面です。縦長の広告のブランド想起率は普通の広告よりも83%高いとのこと、巷ではサイネージをはじめ縦長動画が増えてきました。

映像が生まれるずっと以前、文字が生まれたころから人間は縦書と横書の両方で情報を得てきました。面白いことに本や雑誌や新聞といった紙媒体は縦長が主流、演劇や映画、そしてTVの画面は横長です。携帯電話が登場したばかりのころは電話が主で片手で持つことから当然縦長でした。ところが今、電話はほとんど使われず、文字すらもだんだん読まれなくなって映像が主体となりつつあります。

こうなると映像も縦長が増えていくのでしょうか?確かに若者はスマホの向きをいちいち変えたりしないので縦長の映像クリエイティブをより意識しなければなりませんね。特にスマホ・オンリーのクリエイティブは思い切って割り切ることも必要です。一方、年長者にはやっぱり横型の映像の方が好まれるような気がします。貴方はどちらですかと聞かれてひとつ思うことがあります。それは人の目の配置。人間の目は横についているのは横には視野が広く、縦は横に比べて弱いからです。遠くを見る時はなおさらですね。

やっぱり映像は横型に決まっている!と考える所以です。

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2017ほんかつ

街を見るとクリスマスが過ぎ去り一気に師走のモードに入りました。ゆく年を感謝の心をもって振り返り、来る年を新たな気持ちで迎える準備で追われている方も多いのではないでしょうか。

さて、今年最後のブログは一年を振り返ってビービーメディアで行っている「ほんかつ」をご紹介しようと思います。2年半前、全社員がワンフロアに集まったタイミングとともにさまざまなプロジェクトをたちあげました。そのひとつが「ほんかつ:本読み活動」です。経験豊かなマーケターと研究熱心な人事マネジャーが交代で課題図書を選定して、月1夕方18時半から1時間読後感をもとにディスカッションします。毎回必ず社長は参加するので新入社員や普段話すことが少ないメンバーと接することができます。自分の好みからでは決して手にとらない本もあって新しい世界を垣間見れる機会ともなっています。

例えば「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由:栗原類著」は今年の印象深い一冊でした。「創意工夫、マイナスをプラスに、弱点を知る」、誰もが輝くためのヒントですね。

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人の才能をどのように引き出すか、自信を育むかで言うと「世界中で一番クリエイティブな国民性を持った国はどこか」の質問に対して世界中の人々がトップで日本と答えたのに対して日本人だけが日本を最下位にしたという調査結果があるそうです。自信過剰は禁物ですが、健全な自信を育めないと幸せになれないような気がします。周りの人や社会や世の中が良くならないと自分も自分たちのビジネスも長期的には成り立ちません。

来年も皆で忌憚なくディスカッションできる知的好奇心を追求できる場として「ほんかつ」を続けていきたいと思います。

新たなる求人

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AIの登場とともに将来自分の仕事はどうなっていくのだろうと思う人が増えているのではないでしょうか。来年、米国ではいよいよ自動運転による無人タクシーが稼働し始めるようです。

さて今回は広告・マーケティング業界においてこれからデジタルに強い人材として求められる職種をいくつかご紹介しましょう。これらの職種は10年前にはいずれもなかった仕事です。まず筆頭はCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)です。2020年までにCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)のうち40%はCXOの部下になる見通しとのこと。次にVRエディター、なんとリンクトインには1400人のVRエディターの求人があるそうです。3番目はデータサイエンティスト、機械学習人工知能・データ最適化に関する理解をもった人です。2020年までに2000億ドルの産業にまで発展する見込みとのこと。4番目はオムニチャネル小売りストラテジスト、この肩書はまだ登場したばかりですが、リンクトインの求人情報では400人がオムニチャネル・マーケティングという説明で掲載されているようです。要するにEコマースと小売店舗の両方で小売り経験がある人のことです。最後は今注目の音声スキル開発者。アマゾンアレクサのスキルはすでに1万5千以上開発されています。コンピュータサイエンス言語学の学位とJavaScriptPythonを使いこなせるプログラミング知識を持った人です。

実はまだまだこのほかにも続々と新しい肩書が登場しています。

これからのマーケターは「自分はどんなテクノロジーやデータに対して意欲を感じるか」を真剣に考える必要があります。でも、忘れてはいけないのはツールはどんどん変貌していくこと。デジタル分野ではなおさらです。大事なのは一分野の専門家にとどまるだけでなく、デザイン思考を理解して、消費者のブランド体験をデザインできる人になれることだと思います。

 

BとCが接近中

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先週から今週にかけて季節が一気に2か月以上進んだような気がします。総選挙の投票日も近づいてきました。一国民としてフェイクニュース(デマ)やプロパガンダ絵空事な政策)に惑わされることがないようにしなければと思います。

さて、先日B2Bフォーラムに初めて参加してきました。今回はB2Bマーケティングのトレンドについて少し触れたいと思います。アップル社のCEOであるティム・クック氏は「これまではB2CでやるかB2Bでやるかを選ばなければならなかった。今は状況が少し違う。エンタープライズ(企業)とは消費者の集合体である」と述べています。

今、多くの先進的な企業経営者は社員の幸せと生産性を考慮して、働く環境や働き方を改革しなければならないと考えています。その結果、より個人中心で創造性や生産性を引き出すことが求められるようになってきているのです。セキュリティなどの課題はあってもこの流れはしばらく変わらないと思います。

もともとデジタルマーケティングはターゲットを絞ることが得意ですからB2Bとの相性が良いのでB2Cより有利です。特にB2Bではサーチが効くので呼び込めむ力を持ったコンテンツが必要です。今まで視聴者のエンゲージメントやブランドのストーリーなどあまり重視してこなかったB2B企業も気づき始めています。B2BにもB2Cのマーケティング発想が入り始めたと言えるでしょう。米国の調査によれば、「成功している企業はそうでない企業より49%多くビデオを活用している」というデータもあります。また、言うまでもなくFacebook、LinkedinなどのSNSがエンタープライズの世界にもすでに入っています。動画の用途はさまざまですが、制作のクオリティも上がってくると予想します。

個人と企業の垣根が低くなった中で、B2Bマーケティングはこれからますます面白くなっていくと思います。