Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

一夫一婦は妄想と心得よ

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ブランドマネジャーにとって愛用者を増やすとともに自社ブランドに対する顧客のロイヤルティをあげる戦略は王道と呼べるでしょう。80:20の法則のセオリーからもブランドロイヤリティ戦略は正しいとされてきました。ライフタイムバリューを考えれば、ブランドへの忠誠心を持つユーザーを増やすことは売り上げ・利益ともにプラスに働きます。我が家では発売以来ずっと「南アルプスの天然水」を自宅で購入してきました。ミネラルウォーターだけで累計購入金額はなんと60万円以上という計算になります。

しかし、ロイヤルユーザーはマーケティング費用をどんなにかけてもそれほど多くはならないという意見があります。南オーストラリア大学のバイロン・シャープ教授が示したブランド理論は型破りで賛否両論あるものの目から鱗が落ちました。その中でもっとも印象深いのはブランドとユーザーとの関係です。ブランドマネジャーはブランドとユーザーの関係を「一夫一婦」と考えようと勘違いしますが、ユーザー側は基本「一夫多妻」としか考えていません。例えば高級腕時計市場を思い浮かべるとイメージがつかめます。パテックフィリップ、オーデマピゲをはじめずらりとブランドがあって、マニアの多くはいくつも所有しています。そう言えば、我が家の浴室には数種類のシャンプーやコンディショナーが無造作に置いてあります。歯磨き粉は3種類を朝・夜で使い分けています。イギリスにおけるコカ・コーラ購入者のおよそ半分は年に1、2本しか買わず、平均的なコカ・コーラ購入者でもせいぜい12本とのことです。ということは他の飲料ブランドを飲んでいるわけです。実際にコカ・コーラを飲む人の半数以上はダイエットコーク、ファンタ、ペプシも買っているとのことです。ブランドはヘビーユーザーを守りながらライトユーザーに少し多く飲んでもらうことに力を入れるべきと言えます。

これからの消費者は今まで以上にブランド側が決めつけたカテゴリーやブランド価値には従わないようになるでしょう。ブランドはユーザーの興味・関心がないジャンルでは購入判断を楽にしたいという潜在欲求に今以上に対応することが求められます。一方、こだわりを持つジャンルではTPOに合わせて自分なりの上質な生活シーンを送りたいとユーザーが欲する時に必要とされるブランドをより目指さなければなりません。人の世界と違ってブランドは常にユーザーに対して片思いであり、常に振り向いてもらう努力が必要なのです。