Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

ハサミとAI

f:id:bbmedia:20190224112125j:plain


人間は太古の昔からいろいろな道具を発明してきました。その中で今も秀逸な道具のひとつがハサミだと私は思います。現存する最古のハサミは紀元前の古代ギリシャ時代のものとされ、日本で洋バサミと言われる形状が生まれたのは西洋では古代ローマ、東洋では唐の時代といわれます。誰もが幼児のころから使っている道具は無意識でも扱えるだけでなく、失くしてみないと有難さすら感じなくなる必需品となります。これを現代に置き換えてみましょう。可能性からいえば、これからの身近な道具の筆頭はAIを搭載したIOTではないかと思います。AIスピーカーをはじめハイテク道具を幼児から接して大人になった人間は以前とは違う感覚を当たり前のようにストレスなく無意識に持つようになります。ただ、ハサミのように何世代にも渡って身近に使われている道具はそんなに多くありません。果たしてAIスピーカーとどのくらい長く人類は付き合っていけるのでしょうか。

ハサミと言えばあるAIのレポートを読んでいてふと興味深い記述を見つけました。「ハサミは何世紀もの間、右利き用に設計され、右利きの人に使用されていました。それがバイアスであること、左利き用のハサミを作る必要性をなかなか認識されなかった」へえ~。今も左利きか右利きかでもっとも違いがある文具のひとつがハサミです。ハンドルの形状が違うだけではなくて2枚のハサミの刃の合わせ方にも違いがあるそうです。きちんと切り口が見えるか、指の力がしっかり伝わるか、左利きは人口の10%と言われます。人は主流派、メジャー側にいるとマイナーなグループの体験には気づきにくいのです。

近い将来、あらゆる規模の企業がディープラーニングを使ったソフトウェアでデータを収集し、人間の目では見つからなかった有益な情報をアウトプットするという楽観的な見通しだけでは甘いような気がします。AIはデータの良しあしによって決まります。データにはバイアスがあり、その正体は人間の偏見から生まれています。現状もっともパワフルなアルゴニズムでさえ公平・公正の定義に対して最適化されていないのです。ということはAIテクノロジーのバイアスも人間と文明と同じぐらい深いと認識すべきです。