Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

バイアスにチャンスあり

f:id:bbmedia:20190825203502j:plain

今、世の中はバイアス(先入観)との戦いが激しさを増しています。以前のブログでAIについて留意すべき点として人間のバイアスがあると述べました。ダイバシティ(多様性)やインクルージョン(包括性)が叫ばれる中、それらを困難にしているのもバイアスです。バイアスが縮小するよりも拡大する方向に向かっているのはどういうことなのでしょうか?

理由として大きく2つあるのではないかと感じています。一つは過大な情報社会のもとで人間の処理能力の限界と無意識の中で行われる自分の興味・関心に偏在化した情報収集。もう一つがコンテキストがない断片的な情報によるイメージ想起です。モバイルの普及によって物凄い量の映像や画像がダイレクトに人間の脳に入ってくるようになりましたが、バイアスにとらわれないコンテンツもある一方で、バイアスを助長するコンテンツもモーレツに増えています。

そして消費者はこうしたバイアスの問題に気づき始めています。これはブランドにとっても見逃せない変化だと思います。なぜならばブランドのイメージづくりもまた人間の持つバイアス(先入観)と影響しあっているからです。たとえば、米国の調査では女性たちの半分以上が「メディアや広告の女性の描き方は間違っている」と感じているそうです。

ミレニアル世代の女性向け人気メディアRefinery29が行った「67% project」はまさにバイアスを利用したコンテンツと言えます。米国人女性うち67パーセントが着用する衣服サイズがオーバーサイズ、つまりUSサイズの〈14〉以上であるにもかかわらず、このサイズの女性がメディアで取り上げられるのはたった4パーセント以下だという事実に基づき3ブランドと共同でオーバーサイズの女性を表現するプロジェクトを行い大きな反響を得ました。すでに米国のファッションビジネスでも変化が起きています。女性向けアパレルのJ Crewでは服のサイズの見直しや年齢に対する多様性に対応しています。また、化粧品ショップのSephoraではトランスジェンダーのコミュニティを対象にした美容やスキンケアのワークショップが行われています。世界初のジェンダーフリーアパレルショップThe Phluid Projectではコミュニティに根ざして1週間に5回のイベントを開き、服のマネキンももちろんジェンダーフリーです。

Refinery29の最高コンテンツ責任者のエイミー・エメニッヒ氏は「ミレニアル世代の77%が特定のブランドとの結びつきを持っていません。つまり、ブランドがどのようなコンテンツを生み出すかにあたり、白紙の領域があるのです。でも結びつきがないというのは機会でもあります」と述べています。 

消費者や社会にあるバイアスをもう一度見直してブランドの価値をステレオタイプから脱してみることも時には必要ではないでしょうか。