Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

何を知らないかを知らない

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先日何人かとリモートで話をしていた際、フードロスの話題になりました。そこで驚いたのが「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」の半分は家庭から出ているという発言でした。「えー、ほんと」、それまでホテルの立食パーティやコンビニの賞味期限切れのおにぎりのイメージが強く、業務用での売れ残り、食べ残し、などが圧倒的かと思いこんでいました。農林水産省のデータを見て見ると日本の1年間の食品ロス612万トンのうち、事業系は328万トン、確かに半分近くの284万トンは家庭からの食品ロスとのこと。家での料理の食べ残しや使わずに捨ててしまう材料、言われてみると我が家でも賞味期限切れドレッシングやレトルト食品に限らず、野菜の食べられる部分をどれほど捨てているか、意識がなかったと言わざるを得ません。

驚愕の事実と言えばもうひとつ、全世界の人口のうち25億人に処置していない虫歯があるそうです。米国では6歳から11歳の子供の約半数が何らかの虫歯があり、乳歯で虫歯になると、大人になってから永久歯で虫歯になる可能性が4倍に上昇すると言われています。100年人生にとってオーラルヘルスは極めて大切です。私自身も100点満点とは言えないまでも毎日80点以上の歯磨きをしていると思っていましたが、平均でみると1分程度、国によっても違いますが、日本では毎食後3分間の歯磨きを推奨しています。もちろん、長さだけでなく正しい磨き方をしているか、米国では正しく歯磨きを行っている人はわずか20%という話を聞きました。ここでも無意識の言行不一致があります。人々が正しい歯磨きをしていると思い込んでいる錯覚です。

P&G社はこうした人々の言っていることと行動の違いをデータに基づき、オーラルヘルス改善のイノベーションを起こしました。Oral-BiOという電動歯ブラシです。最新の磁石電動機を搭載したうえで、圧力検知システムによって強すぎると赤く、弱すぎると白く光ります。また、アプリと連動して口内の16のゾーンについてすべてよく磨けているかを指導し、良く磨けているとスマイルマークが表示される人間らしさも兼ね備えています。臨床試験の結果、この歯ブラシを使うと自然に歯磨き時間が2分55秒に伸びていたそうです。まさに45秒しか磨かなかった人々の習慣を変えることに成功したのです。

「自分が何を知らないかを知らない」、実は多くに共通する人間の特性です。今もなおマーケティングのヒントを生み出す鉄則と言えそうです。ブランドにとって、無意識のルーティンにあるニーズを見つけて喜んでもらう解決法をはかるチャンスはまだまだありそうです。

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