今回はかつて新入社員のころ、当時の上司から教わった話から始めましょう。入社後まもないある晩、同期入社のもう一人とともに居酒屋のカウンターでこれからの営業マンに求められる資質について話を聞きかせていただきました。営業所長は割り箸いれの紙に「周辺セールス」という言葉を書きました。「これからのセールスはただ商品やサービスを売るのではなく、周辺セールスが大事だぞ」。そう、今風に言えばソルーション、顧客の問題解決こそが営業の最大の仕事だと。その後、尊敬するその方は取締役にまで昇格し、最後は販売会社の副社長を務められました。ソルーション営業は今日のマーケティングの決まり文句になっていますが、優秀なセールスはずっと前からこれを実践していたのだと思います。当時の営業はKDDで決まるといわれていました。KDDとはつまり「勘」と「度胸」と「努力」、今こんなことを言うセールスマネジャーはまずいません。KDDだけではもはや成果が上がらないのです。環境が変わったのです。ハーバードビジネスレビューの9月号に普通の営業と一流の営業の違いを箇条書きにした論文が出ています。
普通の営業 一流の営業
気合と体力、そこそこの知識で勝負 知恵と能力で勝負
製品やサービスを売る 問題解決策を売る
営業はしょせん一匹狼 営業はチーム力
前例や業界の常識を信じる 前例や業界の常識を疑う
値引きは常套手段 値引きは伝家の宝刀
私たちの業界においても十分参考になるのではないかと考えます。これからプロデューサーを目指す人は少なくとも右を目指してほしいと思います。