今、米国のショッピングモールは転換期を迎えています。アンカーストアといわれるMacy'sやKohl'sなども次々と閉店、絶滅する恐竜のイメージとさえ言われています。ニューヨークの旗艦店が百貨店世界一の大きさを名乗るMacy'sは今年1月数年内に100店を閉じると発表しました。日本でも銀座のプランタンが閉店したり、地方の百貨店の閉店が続いています。
ここですぐに浮かぶのは百貨店が冴えないのはネットショッピングにやられているに違いないと思いがちです。確かにそれもあるかもしれませんが、実は全米のネットショッピングは全小売支出のまだ9%にとどまっています。そういえば、ウォールマートがネット販売に本気になっている反面、アマゾンはリアル店舗を逆に開設しました。消費者は今もオンラインの便利さとは別に人間的なつながりを欲しているとの調査も出ています。
それでは現在の小売に問われている最大のチャレンジとはいったい何でしょうか。リアル店舗で勝負するにはデジタルの世界とシームレスに連携すること、他では得られない体験を提供すること、一歩先の「ハイテク」×「ハイタッチ」なパーソナルな対応がポイントとなると思われます。
ナイキ、アディダス、アンダーアーマー、ノースフェイスなどがしのぎを削るスポーツファッション業界はまさにそのショーケースです。より高機能かつデザイン性がある商品を開発しながら潮流である運動の善(健康)を最大限に追い風にしています。靴やシャツのカスタマイズサービスを店内でも行うナイキ、スポーツウェアからヘルスケアまでデジタルでつなげようとするアンダーアーマー、こうしたブランドから多くのことを学ぶことができます。