Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

ブリック&モルタル2.0

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奇妙なことが起きています。それはEコマースによってリアルな店舗が篩にかかられている一方、オンラインのみで成長してきたブランドのうち少なからずがリアル店舗を作り始めていることです。米国ではアマゾンブックス、アマゾンGO、アマゾン5スターズは有名ですが、眼鏡のワービーパーカー、アパレルのボノボス、エバーレーン、シャツ専門のアンタックイト、女性向けシューズのマルゴーなどリアル店舗なしでブランドパーパス、デザイン思考、顧客データ分析などを武器に市場シェアを獲得してきたブランドが次々とリアル店舗を展開しています。一見非効率と思われるリアル店舗を何故出すのでしょうか?

先週、米国出張の際にいくつかのブランドを訪問してきました。店によっては行列ができているほどでしたが、一方すでに閉店していたブランドもあり、一概に上手くいくとは言えないようです。ジェネレーションZに超人気の化粧品ブランドグローシャーは開店直後にもかかわらず店に入るまで20分待ちました。入っていくとブランドのイメージカラーであるピンクの世界、まるでテーマパークの中の店舗のような雰囲気でした。店員の制服は薄いピンクのつなぎです。眼鏡のワービーパーカーは自宅で思う存分できる試着と品揃えの特徴を店舗でも実現していました。まだ、短い歴史にも拘わらず、中央のショーケースには他とどう違うのかブランドストーリーが堂々と語られています。両店ともブランディングやPRのリアル店舗での徹底ぶりが見てとれました。マーケティングミックスにおいて他にない体験をリアル店舗を通じて顧客に届けようとする狙いです。でもこれだけが理由でしょうか?

実は他にも以下の理由があげられます。

①オンライン広告のパワーが以前よりも落ちてきた中で数多いオンライン専用ブランドと差をつけられること

②オンラインに負けて閉店や倒産する小売業者が出た結果、モールやスペースが空いて家賃が安くなったこと

リアル店舗の方が返品率が低く、またオンラインブランドは従来の小売りよりも店舗に在庫を置かずにすむので小さめのスペースですむこと(試着だけの店もある)

④わざわざ来店する顧客はオンラインよりも多額の購入をすること

などがあげられます。

こうしてオンラインのブランドにとってリアル店舗を展開することが長期的な成長のために重要となったのです。 ただ、店に入るのに行列しなければならないというのが長続きするとは思えませんが。