Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

干渉型から新型モデルへ

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2020年が始まりました。皆さんにとりまして輝かしい一年となりますようお祈りいたします。さて、年頭から驚いたことのひとつが年賀状や賀詞交歓会といった年始の挨拶の縮小です。ESG経営や働き方改革によって従来の慣習ややり方を一度リセットしてみようとする動きがいよいよ本格化していく気がします。マーケティング界においても今までの常識を捨てようとする動きがみられます。それは「マーケティングの意味すること」の再考です。

40年近く前に尊敬する指導教授から教わったマーケティングの定義は「売ることselling」ではなく、「売れるしくみを作ることmarketing」でした。ドラッカーも「マーケティングの理想は販売を不要にすること」と書いています。本質をとらえた言葉でこれは今も変わっていないと思います。しかし、現実これまで多くの企業ではマーケティングをブランド構築と収益増進のための活動ととらえてきました。そして企業のマーケティングの責任者がいわゆるCMO(chief marketing officer)です。そのCMOのポジションを撤廃する動きがこのところ欧米で広がっています。その理由は何か、大きなわかりやすい理由は今までのCMOがマーケティングを自分たちから一方的に発信する仕事だったため、世の中とズレが生じたことです。2015年にCMOを廃止したハイアット・ホテルは組織変更の目的を「集客および顧客エンゲージメントの活動により注力し、優先し、連携させていくため」としています。タコベルやウーバーもCMOポジションを撤廃しましたが、その理由として「消費者の多様なタッチポイントにまたがる一貫したメッセージを作ることが極めて重要になった」と述べています。CMOが行っていた仕事を最高成長責任者、最高体験責任者、最高ブランド責任者に分散する企業もあるようです。

一方でユニリーバ社のCEOアラン・ヨーペ氏は自社にはCMOが必要と述べています。グローバルの広告業界で知らない人がいないほど有名だったCMO、キース・ウィード氏が昨年5月に退任した後、次のユニリーバのCMOは従来のマーケティングにとどまらないより広範囲な任務を担っていくのではないかとみられています。この数年でコミュニケーションの方程式は従来の広告(デジタルも含む)から(テクノロジー×データ)+(コンテンツ重視)+(人間的要素をもったPR)に大きく変貌を遂げつつあります。ユニリーバ社をはじめ多くの企業は新しいCMOを探すにあたってどんな人材を求めていくのでしょうか。

新たなCMOは「ブランドの軸にパーパスを置き、広告ではなく、コンテンツを作り、デジタルとデータツールを駆使してライトタイム・ターゲット・プレイスに消費者にメッセージを届ける・・・」だけでなく、「干渉型や依存型のマーケティング」から「ユーザーに時間を浪費させずに信頼を得るマーケティング」への転換できることが求められると思います。言い換えれば、AIと5Gでさらに多様化と細分化が進む社会においてマーケティングの本質を追求できる人といえそうです。