Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

人の進化と困りごと

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新型コロナウイルスは世界中の人々に新たなリスクを見せつけています。グローバリズムが進み人やモノの行き来がはるかに拡大した経済や社会のなかで人々は生きています。一方、未解明のウイルスへの対応は各国バラバラで後手に回り人々の不安が増しています。セルフィッシュジーン(動物が持っている利己的遺伝子)による差別などに繋がらないことを願うばかりです。今回の脅威を人類は乗り越えられると確信しますが、サステナブルの観点からみても今後「手ごわい問題」のひとつになっていくに違いありません。

2009年にティム・ブラウン氏が書いた「Changed by Design:デザイン思考が世界を変える」と題した本が出版されました。この本はビジネスと社会が直面する課題を視野を広げて捉えなおし、人間中心の創造的なアプローチは問題解決に有効で、デザイン思考はデザイナーだけでなくすべての人が習得できるという視座を提供しました。それから約10年が経過し、デザイン思考は多くの組織で取り入れられるようになりました。

しかし、「手ごわい問題」はより顕在化しています。新型コロナウイルスだけではなく、たとえば、テクノロジーの進化による新しい社会やビジネスモデルには負の側面があること、直線型経済で得られた物質的豊かさの副産物である排出や廃棄が自らの環境を破壊してしまうことなどです。(ユニリーバ社アラン・コーベCEOは人間が劇的な対策を今すぐとらなければ、今後20年で100万種類の生物が死滅すると講演で述べました。)現在ではEUと中国が再生成的な循環型経済への移行を目指すことを宣言しています。

21世紀の中盤に向かっていくなかで、既存の社会システムが目的を満たさなくなってきていることに多くの人が気づき始めています。社会システムを再デザインしていくことも重要ですが、それを待っているだけでは未来は描けません。ビジネスやブランドが「社会に対して役割を持とうとする」行動を起こすタイミングがまさに来ています。米国小売大手のターゲットにCat & Jackという子供服のブランドがあります。すべての子供のためのデザインというコンセプトの下ですべての商品が障害を持つ子供にも適応できる服となっています。(たとえば、チクチクしないようにタグをつけない、車いすに乗ったままでも脱ぎ着しやすくする・・)身近かなところにも「困りごと」はまだまだあります。

カンターが発表したPurpose 2020 Reportによれば、パーパスを強く誓っているブランドはそうでないブランドと比べて12年間で2倍も早く成長しているそうです。「困りごと」を見つけて解決するという価値が上がっている証拠です。