Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

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テレビ広告の主流が変わる

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1990年代の国民的大ヒットシリーズ「古畑任三郎」の主演田村正和さんが亡くなられました。当時は私自身広告業界に入ってまだ日が浅く、勉強のためテレビを今よりもずっと多く見ていました。6年間のドラマの平均視聴率はなんと約25%、インターネットが世の中に登場する前夜のテレビ全盛の時代でした。

さて、パンデミックの最中の今年、例年より約2か月遅く米国で行われた第93回アカデミー賞授賞式(米ABC)ですが、盛り上がりに欠けたショーに終わりました。米国ニールセンの発表によると平均視聴者数はわずか985万人、昨年過去最低記録(視聴者数2360万人)だったので、視聴者数が約58%も減少したことになります。これはさすがに異常値ではないかと思い。他のプレミアを調べるとやはり同じ傾向でした。アカデミー賞より少し前に開催されたグラミー賞(米CBS)でさえ平均視聴者数923万人、18~49歳の層の視聴率2.28%と過去最低の数字だったとのことです。

日本はどうかというと昨年末の史上初となった無観客で行われた紅白歌合戦の視聴率は40.3%(ビデオリサーチ調べ)、2部制となって以来最低だった前年より3%上がったという結果でした。しかし、先週NHK放送文化研究所が5年に一度実施する「国民生活時間調査」によれば、平日の1日にテレビを見る人の割合は5年前に比べて85%から79%に減ったとありました。初めて8割を切る数字です。さらに気になるのは若年層の数字です。米国と同様に日本においても16~19歳で5年前の71%から47%へと大幅に減少しました。もはや半分の若者が1日にテレビを見ないで過ごしていることになります。

2021年の今、日本を含めて世界中が特殊な状況にあります。昨年は巣籠り需要が増して従来型のテレビも一時的に伸びたといわれましたが、蓋を開けるとパンデミックの中で伸びているのはデジタルということが明らかになりました。一方、パンデミックは健康、人権、不正義、気候変動、経済の2極化に対する関心を高め、結果として「信頼」が何よりも不可欠となりました。信頼を得られるかどうか、いい加減なデータや不透明さが解消されなければ、従来のメディアはもちろん、デジタルメディアであっても退場していくことになるに違いありません。テレビの主流は従来型からネットテレビに移っていくことは自明の理と言えるでしょう。

ブランドにとってはより優れた精度でリーチ可能な属性情報を持つ視聴者に向けて広告できるようになります。さらに今の消費者は、9種類くらいのタッチポイントにまたがって揺れ動いています。ライブ配信のデモ画像、ゲーム、ユーチューブ、ソーシャルコマースなど。こういう周縁的な場所でうろうろしながら、ひらめきと出会ったり、交流したり、買い物したりするようになって、昨今では、消費者がいる全ての場所に、購入ボタンを仕込んでおく必要が出てきます。ネットテレビはこちらにも対応していくに違いありません。

不評だったアカデミー賞授賞式ですが、テレビコマーシャルのほうはそれなりに見ごたえがありました。たとえばverizon、会場の360度カメラビューや5Gアプリを紹介、番組をブランド体験と上手に結びつけていました。

 

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