Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

「気に掛けています」が出発点

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カタカナ英語を上手く日本語に直せないという悩みは今に始まったことではありませんが、経営の基本用語となった「エンゲージメント」もその一つかと思います。企業においては主に二つの視点、一つはカスタマー(顧客)エンゲージメント、もうひとつはエンプロイー(従業員)エンゲージメント、いずれも極めて重要ですが意味はやや違います。

エンゲージメントという言葉を米国で初めて聞いたのはもう20年近く前のこと、当初はデジタルマーケティングを中心に顧客のブランドへのエンゲージを高めるにはどうすれば良いか「顧客を巻き込む、行動を促す」という文脈で使われていました。それより前にブランドマネジメントで重要視されていたブランドロイヤリティは顧客のブランドに対する忠誠心を表す感情的な指標だったことに対してブランドエンゲージメントは顧客のブランドへの関係性の深さを表す行動的な指標となりました。マーケティング用語集によれば、カスタマーエンゲージメントは「企業やブランドに対する消費者の関係性の深さのことでそれまでとの違いは購買だけでなく、あらゆる消費者の積極的な行動を指す」とあります。

近年、カスタマーエンゲージメントが注目されるようになったのには理由があります。まず、ひとつはデジタル社会になってから顧客が企業やブランドといつでもどこでも繋がるだけでなく、顧客自身もSNSを自在に使っての受発信ができるようになりました。ふたつめは顧客がブランドや企業に社会問題の解決を求めるようになっただけでなく、賛同する企業への応援もするようになったことです。これはパンデミックが起きてからさらに機運が高まりました。そして3番目は顧客の行動履歴だけでなく、顧客からの意見をより聞ききながら商品やサービスの改善をしていくことが容易になったことです。つまり、ブランドや企業活動に対して顧客の行動がパワーを増したと感じます。

先日、オンラインで健康食品を購入したところ写真のような段ボールの箱に入って送られてきました。段ボールの内側に印刷された日本ぐるり四季巡りを思わず見て感心してしまいました。商品に添えられた社長からのメッセージの末尾には「~。これまで以上に、どうかお気軽に、どうか何なりと、お声を頂戴できれば幸いです」と書かれていました。なるほど、ほんの小さなことでも幸せと思える時間を積み重ねていく、お客様に幸せな時間や体験をお届けするために、お客様のお一人おひとりの幸せを知ることに努め、その気持ちに寄り添う、という気持ちを段ボールだけで感じることができました。

エンゲージメントには元々「契約」とか「約束」といった意味を持っています。お互いに関心をもって目に見えない約束を守ることがエンゲージメントの土台となります。まもなく、久方ぶりに任期満了による衆議院議員総選挙が行われます。総務省のまとめによれば、1960年代から90年代まで投票率は65%を超えていたそうです。それが17年では54%、19年では49%となりました。これはエンゲージメントの低下に他なりません。投票に行っても変わらないというあきらめ感が蔓延しているのでしょうか。

活力を取り戻すには企業はもちろん、国・政治・社会すべてにエンゲージメントがもっと必要です。

 

 

 

 

 

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