Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

激流を和らげる術

 

つい最近の出来事ですが、病院の診察をオンライン予約して行ってみると自動キャンセルされていたことがありました。アプリで仮予約してから先方からの返信メールを開き、個人アドレスを入力して予約番号と予約完了確認画面も出ていたのですが、細かく書いてある注意事項を読まなかったことが原因でした。受付の人からけんもほろろに扱われて正直気分を害しました。確かに非があるのはこちらですが、、。ところが次に予約して訪問した際、予約画面のわかりにくさや予約完了のミスのしやすさを指摘すると「ソフトウェアの不備でボタンがうまく設置できておらずほんとうに申し訳ありません」と言われました。それは無理もない、自分たちにもよくある話と納得しつつ、さらに「最も混雑していない時間帯は週中のお昼前後ですから次回はそうされてください」と教えてくれると、印象は不親切→親切へとすっかり変わりました。

企業やブランドにとって不満を抱える顧客に緊張した状況をやわらげる方法を知ることはSNS時代において貴重なスキルです。そのためにまず基本的な考えを持つ必要があります。人の怒りはどこから生まれるのか、根本的には自分を守るための感情から生まれます。自分が大切にしている人・モノやコトが否定、侵害、誤解、無視、、、されていると感じた時に怒りが生じます。ということはまず何よりも相手の話を聞くことがスタートです。直ぐに弁明したり、誤解を正したり、解決策を提示するよりも相手の話を最後まで聞くことが重要です。

カスタマーサービスの教科書によく書かれているようにクレームのある顧客に対して問題が解決できなかった場合でも企業の誰かが自分の話を聞いてくれたと感じた時、問題がすぐに解決された顧客よりもブランドロイヤルティが高くなると言われます。にもかかわらず「相手の話を最後まで聞く」は意外と出来ていないのではないでしょうか。さらに憤慨となると一回の出来事ではなく、数回もしくは別のクレームが重なって引き起こされると考えておく必要があります。こうした場合、ブランドや企業側は「本当の問題は何なのか」を突き詰めることが肝要です。もちろん、怒っている人に接するときは言葉だけでなく非言語のコミュニケーションにも気を配らなければいけません。

コロナ禍に始まり、社会の混乱、気候変動による大災害、エネルギー危機や物価高騰、世界大戦への漠然とした不安といったムードは日常的ないらだちを増やし、穏やかな人でさえも短気にさせる状況を作り出しています。実際に米国では航空・ホテル・医療業界などの接客業に従事する人たちから「怒りの感情を持つ人が増えている」との報告があがっているそうです。

冷静に、丁寧に、尊厳や敬意を払えば,おのずと行動にも表れます。いずれにせよ、顧客との緊張した状況を和らげるには激流を無理に食い止めるのではなく、相手への理解、心の余裕と機転を用いて、ゆっくり迂回させていくほうが良い解決に向かう気がします。日頃から顧客の満足度に気を配って意見を聞きながら顧客体験を改善する活動もそのひとつです。