今回は世界のマーケティング界の第一人者のひとり、P&GのGMOステンゲル氏の最近のインタビューを紹介します。今、P&Gは2000年から2010年まで10年連続成長という偉業に邁進中、5年前に5つしかなかった10億ドルブランド(タイド、パンパース、パンテーンなどいわゆるメガブランド)が、現在22に増えています。彼はこのような継続的な成長には新しいアイデア、新しいプラクティス、を探求し、それらをを取り込み社員をトレーニングし、ひとりひとりが能力を高められるよう支援し続けることが必須だと述べています。その中でも「マーケティングマインドセット」を身につける必要が特に重要だといっています。ブランドの構築とは、顧客とのリレーションシップをより強化する活動と位置づけているのですね。これは人と人が関係を築く時と一緒とも言っています。相手と仲よくなるにはまずその人の話に耳を傾け、立ち振る舞いを観察し、対話しながら共感が高まってきます。
さらに、関係を深めるには、約束を必ず守る、最後に獲得できる関係は愛情と信頼がそこに生まれるというものです。何を今更と感じる人もいるかもしれませんが、P&Gのマーケティングのトップがあえてこうした「マインド」の強化と浸透に力を注いでいるのは多くのマーケターがついつい忘れがちになるからではないでしょうか?ビービーメディアで言うならば「クライアントを深く知ろうとするマインド」と言い換えることができると思います。
さて、彼は理解をより深めていかなければならない消費者が今、企業よりも圧倒的に速いスピードで変化している、ここでドラスティックに思考を変えなければマーケティングで世界の最先端を走ってきたP&Gも消費者を理解するどころか追いつくことすらできなくなるという危機感を持っています。「消費者との関係をコントロールするという考えをいっさい捨て、経験を共有することに努めなくてはいけない」とのコメントを読んで思ったこと。それはP&Gのようなビッグマーケターですら、メッセージや活動が消費者の感覚や価値観にあっていなければバーチャル・リアルを問わず受け入れてもらえない時代だということです。
上記のレポートに興味のある方はDHB(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー)7月号を参照してください。