今、ピューリツアー賞を3回も受賞したジャーナリスト、トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」(The World is Flat)という本がベストセラーになっています。著者のいうフラット化とは、世界のシステムが指揮・統制の垂直的なシステムから、世界の多様な人々の「接続と共同作業」の水平な仕組みに移行していくことをさし、グーグルのようなプラットフォームが今後さらにこれを加速させていくとしています。私も大きな流れには異論ありません。会社の組織もかつてと比べてフラット化の方向にあると思います。
ただ、フラット化するためにはある条件が必要ではないでしょうか?それは「自立自走」できるしっかりしたメンバー・マネジャーの存在、それと同時にメンバー・マネジャーのベクトルをあわせるトップのリーダーシップの存在だと思います。組織が小さいうちはリーダーが直接目を配ることができますが、一般的には50人を超えるとマネジメントのやり方を変えないと難しいとされています。もっとも極端なバーティカルな仕組みは軍隊ですが、多くの組織もこの考え方を導入することになります。私はどちらにもメリット・デメリットがあると思います。今、考えていることは「働き甲斐のある会社」にするにはどういうマネジメントがよいかという視点です。試行錯誤しながら両者のバランスをとっていきたいと思います。
さて、最後にフリードマンは「国民が希望を抱く国には中流階級がいる」という言葉を引用しながら、ミドルクラスの重要性を述べています。インドにはイスラム教徒が多いのにもかかわらず、ビンラディン派がでないのは民主主義によって彼らの多くがミドルクラスになっているからだと。会社でいえば、中堅な可燃型のメンバーの重要性ではないだろうかと連想してしまいました。また、続けてフリードマンは「ミドルクラスは、収入の多寡ではなく、その心の持ちようだ」とも述べています。これもまた、会社のメンバーに置きなおすと「目に見えない仕事の報酬」を大切にする心の姿勢のような気がしました。