ニューヨーク出張の際、1996-2006、インターネットの10年を俯瞰するというセミナーに出席しました。当時は大企業がこぞってホームページを立ち上げた時代です。そして今、ホームページは当たり前、立ち上げればそれでよしとする企業は皆無となりました。これからの10年で更にどのような世界がやってくるのか、不安と期待、脅威とチャンスをかつてなく感じるこのごろです。
先週「2010年の広告会社」という本を読みました。この本で2015年に日本の80%の広告会社が今のままでは潰れるというショッキングな記述がありました。いったいどういうことでしょうか。日本には約3000社以上の広告会社があり、日本広告業協会に加盟している会社はそのうち約5%だそうです。多くは極めて脆弱な中小企業なのでしょう。1990年にいわゆる酒屋さんが日本全国に約12万店あったのがたった10年ちょっとで80%消滅したことを思うと可能性大と私は考えます。決して世の中でお酒が飲まれなくなったわけではありませんでした。買い場の多くがスーパー、コンビ二、ディスカウンター、専門店へ変更したのです。同じような話は銀行にはじまり、フジフィルムのお店に至るまで枚挙に暇がありません。とうとう広告というビジネスにもビッグバンがやってきたのです。ビッグバン(big bang)とは単なる大爆発という生易しい意味ではありませんよね。金融ビッグバンでは都市銀行12行の生き残りすら簡単ではありませんでした。これからの5年でさらにメディア・クリエイティブ・ユーザーの垣根が低くなり、従来の広告という業種の地盤沈下が一段と進むと思います。しかし、同時にとそれに代わるニーズが誕生するに違いありません。「進化」、そこには新しいビジネスチャンスもあります。制作会社にとっても同じことが言えるのではないかと考えます。