経済について興味がない人、苦手な人もこのところの原油価格の急上昇は他人事ではいられないはずです。現在、世界には約4万5千の油田があるそうです。しかし、可採埋蔵量の約53%は、上位100の大規模油田で占められていて、そのうちで80年以降発見された油田はたった2つしかないそうです。
以前のブログ「 生は偶然、死は必然」の中でノーベル化学賞受賞者である野依良治名古屋大学特別教授一氏の講演をご紹介したことがあります。石油はあと40年しか持たないというものでしたが、もう安価な石油エネルギーが手に入る時代は再び来ないのではないでしょう。堺屋太一氏は日経ヴェリタスのセミナーで石油危機の次は食料危機、発展途上国では化学肥料や農薬の値上がりによって大打撃を受け、農業生産量が低下し、世界的に深刻な食料問題となると述べています。日本でも重油価格の高騰によって漁業の操業ができないという事態が出ていますよね。先進国においても原油高はすべての商品・サービスにインフレを呼びます。ところがそう簡単に価格をあげられない現状があります。また、価格に転嫁すると売り上げが落ちてしまうと我慢すれば、利益を圧迫し、企業の先行投資は減り、景気はもっと悪くなります。今までのインフレでは一緒に賃金も上がったので庶民生活は向上してきましたが、今回は違います。賃金をあげられないので生活水準は下がっていく可能性があります。多くの日本人にとって初体験です。「厳しいことを言うようだが、日本人の生活水準が下がるこのを認識しなければならない」の竹中平蔵氏の発言はズキっと響きました。
一度慣れた豊かさをどう見直すのか、国・地域社会・企業・個人それぞれライフスタイルの転換が起きることは必然でしょう。もちろんすべて悲観的に考えるのではなく、ここにも新しいチャンスはあるはずです。むしろ一番怖いのは将来に対する悲観の心理です。