一学年後輩の友人に創業1689年の漆器店の社長がいるのですが、漆器店といっても現在年商80億以上の老舗会社です。彼が先日の日経新聞で「江戸時代のデフレや関東大震災を乗り切ってきた先祖の苦労に比べればリーマンショックなどさほどではない」と述べていました。江戸時代の寛政の改革では幕府のデフレ政策の影響もあって純資産が3分の一にもなったことがあると言います。
そういった危機に当時の7代目、8代目の当主が「御改革」と呼ぶ倹約令や資産の洗い直し、新規事業を行って乗り切ってきたそうです。今も昔も同じ、山あり谷ありは当たり前だったのですね。
江戸時代を乗り切り明治に入って洋紙を扱うようになってさらに成長しましたが、関東大震災で本店、倉庫が全焼、存亡の危機に再び陥ります。すると今度は震災後に実用漆器の需要が急拡大し、業績を補ったそうです。
現在は当初の漆器に加え、紙と不動産をバランスよく多角化し、安定した経営を行っています。「恰も一身にして二生を経るがごとく」とは幕末に生きた人々を福沢諭吉が表した言葉だそうです。
人生を2回楽しめると思って積極的に取り組むか、それとも理不尽だと思って生き方を変えないか、人それぞれでしょう。しかし、会社は変化対応しないと生き残れません。危機、転機、好機と「機」にはいろいろありますが、今起こっている新しい状況を自分自身でどのように捉えて、自己の仕事における問題を解決していくか、その能力が何よりも大切な時代ですね。