Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

過去から未来を発見する

新年の挨拶をまだ済ませていないと思ったらあっという間に1月も終わろうとしています。一方で24年ぶりのバス通勤にも慣れ、新しいオフィスでの生活が始まりました。実を言うと今回の引越しでは初めて片付けコンサルの方の協力を得て会社で保有していた荷物の50%を廃棄もしくは整理し、効率的でキレイな職場に変貌しました。これからがむしろ本番となりますが、モノや時間の無駄を減らし、新たな環境でサステナブルな仕事意識を高めていきたいと考えています。

さて、そんな引っ越しの最中でビービーメディア創業前に自分が要約したレポートを発見しました。タイトルは「Your Brand is Your Future」、これは4A(American Association of Advertising Agencies)から1996年に出版された小冊子。当時渡米して4Aを訪問した際、スタッフの方に教えてもらい手に取ることができました。イントロダクションの部分にこんなコピーがあります。初めてこれを読んだとき、とてもワクワクした覚えがあります。

「創業者が死んでも、工場が焼けても、機械が動かなくても、在庫がなくなっても、技術が陳腐化しても、あなたの会社の持つ知的財産で唯一期限がないもの・・・それがブランドです」

時代遅れという方もおられるでしょうが、今も本質を捉えていて現代のメガブランドやビッグテク、財力パワーで無秩序に拡大する組織へのこんな警告もあります。

「あなたのブランドはすべての目的に対して信頼できる価値を持つことはできません。むしろ、強いブランドの場合、限られた人に特別な品質を与える点で信用できる価値を持ちます。そしてあなたがコアバリューを傷つけるようなライン拡張を提案するならば、ブランドの信用できる価値を蝕み、元の商品やサービスを弱めてしまいます。私たちは長年にわたって産業で市場を定義しようとする習慣がありますが、事実そこには自動車市場も、飲料市場も、化粧品市場もなく、あるのは人々(people)です。どの市場もある特定のニーズを持った限定された人々のことであって、デモグラフィックではなく、「関与」の内容によって形成されています。欲求やニーズに「関与」がなければそこには市場はありません」

そして普遍的なブランドの価値についてこう言っています。

「いかなる市場において何が競争から引き離す武器になるのでしょうか。この答えは遥かアリストテレスの時代に戻ります。つまりどんな場所、人、モノにも固有の他と区別できるエッセンスがあること。ブランドについても同じです。あなたがブランドを成功させたい、もしくは成功を維持したいならば、相手に見せることができる特別な品質について差別化できる一貫したメッセージを持たなくてはなりません」

厳しい言い方をすれば差別化できる価値がなければブランドにならないことを意味します。

元旦に能登半島を中心とした地震による大震災が起きてしまいました。余震がまだ続いていて心が痛みます。被災された中には輪島塗をはじめとして多くの特産ブランドが含まれています。心よりお見舞いを申しあげますとともに一日も早い力強い再生を願ってやみません。

 

 

 

 

西から南へ

麻布という地名が大体定着したのは江戸時代初期にさかのぼります。元々の地名の由来はかつてこのあたり一帯で人々が麻を多く植えて布を織っていたからと言われています。その後江戸の発展と共に武家・大名屋敷が増えていきました。幕末にはアメリカ公使館が麻布善福寺におかれたこともあります。今もなお非常に多くの大使館が点在しているのはそのせいかもしれません。明治になってからは東京府麻布区となり武家屋敷跡地が次々と外国の大使館や住居になっていきました。と同時に高級住宅地として名を馳せるようになり洒落た独特な雰囲気を持つ地域として現在に至っています。先月開業したばかりの麻布台ヒルズは今のところ日本一の高層ビルとあって大きな話題となっていますね。五十音順で言うとアルゼンチン大使館に始まりロシア大使館に至るまで40カ国以上、国際色の豊かさは日本一と言えるでしょう。ビービーメディアが現在入居している西麻布のビルには13カ国の大使館や領事館が存在していました。

西麻布という地名は港区になってからの新住居表示により変更されたものです。かつて都電が走っていた麻布霞町交差点を中心に北東から時計周りに1丁目、3丁目、4丁目、2丁目の順番となっています。ちなみに東麻布、南麻布、西麻布はあっても北麻布はありません。今も江戸時代の面影を残す住居表示は麻布狸穴町麻布永坂町麻布十番でしょうか。西麻布と言えば夜の街のイメージがありますが実はレジデンスを中心とした静かなエリアです。隣の六本木と比べて大人の夜を過ごすイメージができたのは1985年にヒットした「雨の西麻布」の影響もあったかと思います。どの駅からも程々遠く隠れ家的なお店が多いのが特徴です。一方で2003年に開業した六本木ヒルズを皮切りに、2006年に表参道ヒルズ、2007年にオープンした新国立美術館、六本木ミッドタウンなどと程近い場所でもあります。さらに2010年代に入ると渋谷の再開発が本格化したことで麻布の中で一番渋谷に近い(歩いて20分強)西麻布はとても良いポジションと言えます。

ビービーメディアの母体であったアートパブリシティが西麻布に事務所を開設したのは今からほぼ60年前。私自身西麻布で働き始めてから33年余りが経過しました。光陰矢の如し、西麻布自体はこれまでほとんど変わらず(西麻布3丁目再開発をはじめこれからは変わっていくでしょう)、むしろ周りの再開発によるプラス面を享受してきた気がします。そして西麻布に長く居を構えて仕事をさせていただいているビービーメディアにとっても大変な恩恵に預かったと感じています。西麻布のまち、そして西麻布でお世話になったみなさま一人ひとりに心から感謝を申しあげます。

ビービーメディアは来年1月から西麻布から南麻布に拠点を移します。これからは南から西を眺めることになりますが、みなさまには引き続き変わらぬお付き合いのほどをお願いいたします。

 

使い方次第と心得る

生成型AIの登場によって写真や音声、世界の出来事を誰もが自由自在に作れる時代になりました。ブランドコミュニケーションの世界でもさまざまな活用事例が既に生まれています。例えば、コカ・コーラはいち早くChatGPTとDELL-Eを歴史あるコカコーラの広告クリエイティブの数々と組み合わせた新しいクリエイティブ共有サイト(Create Real Magic)を立ち上げました。これはコカ・コーラが常にイノベイティブで新鮮で楽しいブランドであることを訴求するのが狙いです。ナイキは女子テニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズを起用してAIが分析した1999年と2017年のプレーの違いをもとにお互いで試合するエンタメコンテンツを制作しました。ナイキが持っている過去のデータ財産を巧みに利用した好例です。

AIは広告だけでなくマーケティング全体にデータ活用のレベルを上げる大チャンス到来をもたらしました。スターバックスのAIプラットフォームであるDeep BlueはAIと機械学習を用いて顧客体験をパーソナライズし、店舗オペレーションを最適化し、在庫を管理します。顧客の好みを理解し、パーソナライズされた提案、プロモーション、ユニークな体験を提供できるだけでなく、店舗スタッフの配置を最適化することで効率的なサービスを実現し、在庫の必要性を予測して人気商品の品切れを防ぎます。これによってバリスタは優れたカスタマーサービスを提供し、顧客との個人的なつながりを作ることに集中することができます。ナイキはNike Fit アプリの中でARとAIを結びつけてユーザーがアプリの中で自分の足をスキャンしてそのデータを送ると最適な靴をAIが提案するというサービスを行なっています。共通しているのはいずれもAIを利用して卓越した顧客体験(CX)に結びつけていることです。生成型AIもこの王道に沿って活用していけば良いはずです。

巷では生成型AIによって文章や画像や映像が簡単に誰にでもできることや既にソーシャルメディアが草の根的につながるようになっていることから生成型AIの技術を利用したフェイクコンテンツが一気に世界中に拡散されてしまうといったネガティブな意見が聞かれます。確かにその通りですが人々に虚偽や誤解を招くような情報はそもそも生成型AI製であろうとなかろうと好ましくありません。どんなにAIの性能が上がって偽物のサインがわからなくなろうともNGです。一方でブランドはこれからもAIを素晴らしい顧客体験(CX・UX)の実現と前提となるブランド体験(BX)の変革にとって有益なツールとして積極的に利用すべきと考えます。



 

 

 

筋金入りのサステナブル

 

昨年9月、アウトドアウェア・ギアで有名なパタゴニアの創業者イボン・シュイナード氏が自身と家族の保有する議決権のない同社株式を環境NPOに譲渡し、議決権のある株式はすべてパタゴニア・パーパス・トラストに信託するというニュースが話題となりました。ご存じの方も多いかと思いますが、パタゴニアは環境問題が今のように騒がれるずっと以前から持続可能性を経営の軸において売り上げの1%を環境保護に充てることをはじめ、従業員の事業所内託児所設置、倫理的で持続可能なサプライチェーン、ブランドの修理や再販に至るまであらゆる面で業界をリードしてきました。

今年8月にイボン・シュイナード氏の新著「The Future of Responsible Company : What We've Learned from Patagonia's First 50 Years」が出版されました。この本に書かれている教訓について少し触れたいと思います。資源を使ってモノを生産し、販売し、廃棄物を生みだす製造業にとって利益との葛藤の中で完全な持続可能性を達成することがいかに難しいか、品質との両立をどのように図るか、多くのブランドの共通課題でもあります。

過去50年で気候変動問題と企業の責任に対する見方は大きく変わりました。人々は環境問題の複雑さやうわべのメッセージに対して懐疑的にとらえるようになりました。まず第一にブランドメッセージで漠然とした主張は避けるべきと本の中で述べています。次に時間が経過してもさびないサステナビリティストーリーをつくるには開発の段階から製造チームとマーケティングチームの絶え間ないコミュニケーションをとることが必須です。また、ネット・ゼロやカーボンニュートラルなど目標を達成できないならばその旨を正直に話し、他の方法を見つけてそれを話せばよい、企業が正しい方向に進み、その道程を誠実に分かち合っている限り人々は寛容であるとも述べています。但し、サステナビリティへの取り組みが本物でビジネスとつながっていなければなりませんが。最後は長期的な視点をもつ重要性をあげています。短期的な結果に集中すると長期の問題を引き起こす一方、企業の長期的な利益は社会の利益・地球の長期的利益と必ず一致するとの考え方です。

シュイナード氏は責任あるビジネスを続けていくうえで前例のない行動をとりました。全株式を売却して現金を寄付した場合経営理念を維持できなくなる可能性があると断念し、新規株式公開(IPO)については「長期的な活力や責任が短期的な収益を求める圧力の犠牲になる」と判断しました。「他社に責任ある行動を促す前に私たち自身がそうしなければならない。問題を無視したり、避けたりせず、解決に向けて積極的に行動することで、持続可能性への道をさらに前進させられる。私たちが正しい選択をするたびにその方が利益につながることが判明している」とシュイナード氏は述べています。

果たしてパタゴニアに追随する企業やブランドがこれから増えていくのか、最近のZ世代の調査では発言と購買の間に矛盾があるという報告もあります。責任ある行動をとるブランドを目指すにはどうすれば良いか、顧客の先を見ることも時には必要です。

相応しくないパーパス

今年米国のビール業界で起きた大きな出来事といえばアンハイザー・ブッシュ社(AB社)がトランスジェンダーのソーシャルインフルエンサーにバドライトのパーソナル缶を送ることから端を発した顧客によるブランドボイコットであったと思います。マーケティング巧者であるAB社が主力ブランドを分裂する政治社会問題の渦中に投げ込んでしまいました。誤解があったとはいえバドライトの売上は下がり続け、バドワイザー、ミケロブ・ウルトラ、などの他ブランドにも悪影響を及ぼしました。結果としてブランド担当と上司を休職にして交代させるとともにブランドマーケティングの決定並びにトラブルの対処の拙さを露呈することになりました。

ブランドパーパスは10年以上前からマーケティングの中心的な考え方のひとつとして広がってきました。持続可能性や環境・社会・ガバナンスへの関心と相まってパンデミックが起きた2020年にはピークに達した感があります。最近の米国レポートによればブランドが持続可能性や多様性やコミュニティに貢献しても数年前に比べて顧客は無関心になっていると言われています。去年あたりからグローバルのCMOはパーパスという言葉を多用しなくなりました。

パーパスブランディングが顧客になぜ響かないのか、その原因のひとつは企業トップがパーパス(ブランドの存在理由と結びついた活動)とコーズ(社会貢献そのもの)と混同していることがあげられます。もうひとつはブランドカテゴリーや商品と結びつきが強くないパーパスメッセージであったり一貫性がない活動の場合です。一方で高い評価を得ているブランドの代表例がP&Gの洗剤タイドです。「冷水を使おう」Turn on Coldはタイドの持つ優れた機能として長年広告キャンペーンに使われてきました。タイドはCO2による環境負荷を減らし、電気代も節約できるというものです。ユニリーバベン&ジェリーズも何十年にも渡ってアイスクリームとしてはちょっと大げさな「アイスクリームは世界を変えられる、人間のニーズを満たし、社会における不公正をなくす」という考え方を持っています。だから、ベン&ジェリーズが米国でネイティブアメリカンに盗まれた土地を返すことを支持したり、アイスクリームが溶けちゃうと困るからと気候変動問題に取り組んでいても顧客は驚きません。

AB社は「もっと多くの乾杯ができる未来を創ろう」(To a Future with More Cheers)のミッションを掲げています。前述したバドライトのキャンペーンは多様性の観点からコアな顧客(愛飲者は保守的で圧倒的に男性)を阻害せずに長い衰退傾向から新たな顧客の拡大を目指しました。しかし、飲みやすく皆で楽しめるバドライトを壊してしまいました。AB社の新チームはLGBTの団体を含む長い関係を持つ団体の支援を続けると表明する一方でスポンサーシップとブランドマーケティングを区別してビールのマーケティングはスポーツ・音楽・人々のつながりへの応援といったテーマに焦点を当てようとしています。

ブランドがパーパスを持つことは好ましいことです。さらにパーパスを企業やブランドのマーケティング活動に反映することは正しいと思います。ただし、ブランドエクイティの観点から顧客との関係性を踏まえた活動でなくてはいけません。特に社会を二分するような政治・社会・文化的な問題にブランドが関わることは極めて注意が必要です。

 

 

 

 

AI製とヒューマン製(Made by Human)の違い

このところAI(人工知能)の話題が巷に溢れ、誰もが自分の仕事にAIがどんな影響を及ぼすか、一斉に考えるようになった気がします。TVのワイドショーはもちろん、SNSでも次から次へとAIの新しい話題が登場し、一年前には予想できなかった状況となっています。「チャットGPT」はもしかすると今年の流行語大賞になるかもしれませんね。「文書作成、画像生成、プログラミング、データ分析までAIでこんな風にできますよ」という事実を見ると人間が行ってきた高度な頭脳労働の少なくとも一部はAIが今後担っていくものと確信します。

では広告クリエイティブの世界ではどうでしょうか。個人的に言うと実はAIが圧倒的にポジティブをもたらすと期待していますし、一気に広がるのではないかと考えています。その第一の理由として生成AIの可能性は無限なので人の想像性を掻き立てる点でとても相性が良いと感じているからです。逆に言えば下書きはAIで行いその先は人がブラッシュアップするのが基本となります。もちろんAIがさらに進化して完成度が高くなると人間の仕事がAIに奪われてしまうという恐れも出てくるでしょうが、後で述べるとおりAI製と人間のクリエイティブは分別されるのではと思ったりしています。既に米国ではAIで作成されたコンテンツや文章はその旨を明記しなければいけないという動きが出ています。第2は時間とコストの削減です。AIを使えば広告コピーや画像制作にかかる時間とコストは大幅に削減が可能となります。現在大きな課題となっている労務・残業問題の解決につながります。そして普及する3番目の理由は他社に後れをとるわけにはいかないという危機感です。

さて、AI製について仮説を述べてみたいと思います。ペンシルベニア大学ウォートン校のプントーニ教授らの研究によれば「消費に象徴的性質があるとき、人は人間の労働を強く求める」ということです。象徴的な消費活動とは自身の価値観やセンス、ステイタスや興味で行われる消費をさします。たとえば居間に絵を飾るとき自分の子どもが手書きで書いた絵と有名だけれど印刷されたポスターのどちらを人は飾ろうとするでしょうか。人の労働はユニークさに結びついている一方でロボットやAIは標準化・均一化という概念につながっているので象徴的消費をするときに顧客はロボットやAI製よりも人間が作ったほうを選ぶということになります。

この仮説が正しければAIやロボットが社会や経済に浸透していくと同時に人間の労働が持つ特別な価値も増していく可能性があります。おそらく現在のフェアトレード商品やハンドメイド商品のように認証や証明によって人間が作った価値を強調するようになるかもしれません。

二者択一からの脱皮

「ガソリンスタンドの自動洗車機で車を洗うと傷がつく?」と思っている人はまだ多いのではないでしょうか。今の最新鋭の洗車機はブラシが改良されただけでなく、車の形状を読み取るセンサーや制御能力が向上したので車に傷がつくことはないようですが、昔の洗車機はナイロンやプラスチックに近い硬いブラシが使われていて目に見えるかどうかの細かい傷がつきました。雨や汚れをとるために自動洗車を長年何回もするうちにボディそのものにだんだん傷がついていったわけです。実は同様のことがブランドでも起こっていると感じます。新聞のチラシで「初回申し込みに限り5000円が1000円」とか、「本日特別に定価の40%引き」とか、「今週の特売で250円が198円、お一人1本限り」とか枚挙にいとまがありません。こうしたプロモーションは一時的に売り上げを作ってくれます。しかし、多用しているうちにブランド価値をだんだんと毀損していくことになります。

過去20年以上にわたってマーケティングでデジタルが主流となってきた中、企業から消費者へのアプローチで登場したのがパフォーマンスマーケティングです。サードパーティのチャネルを利用してキャンペーンを実施して、そこから購買、リード、クリックといった結果に対して発生した分で料金を支払うという考え方です。ターゲティングによってクリックしやすい人にバナー広告を送るなどが典型です。ここではROIを測定することが可能です。実際に購買まで追えるので無駄な広告費を抑える効果があります。しかし、これもまた長期で見るとブランド構築の足を引っ張っている可能性があります。パフォーマンスマーケティングは売上、リード、クリックの短期的な効果は測れてもブランド構築への効果や影響は把握できないからです。

一方、従来からずっと続いているブランドマーケティングは「認知」とか「好意度」せいぜい「購買意向」といった指標しか存在せず数値で表しにくい弱点をもっています。短期の結果が出なくてもブランド構築は長期的投資であるということで計測を免れてきました。ブランド広告は大事と言いながら不況になると減らされるといったことが起きるのはやはり効果が見えにくいからだと思います。多くの企業やブランドはプロモーションに近いパフォーマンスマーケティングとブランドマーケティングは二者択一と考えていてマーケティング予算を奪い合っています。

元P&G社のCMOだったジム・ステンゲル氏とペンシルベニア大学ウォートン校のランバートン教授らはブランド構築とパフォーマンスマーケティング両方の究極の目標はブランドエクイティの成長だと定義しています。ブランドエクイティの測定方法は企業やブランドによって異なりますが、ここでアップデートされた重要な要素を改めて紹介するとfamiliarity  regard  meaning  uniquenessの4つです。そしてさらに重要なことはこれらの4つが組み合わさってブランドに対する感情となることです。人の意思決定を解き明かす神経経済学でこうした感情が人の意思決定の90%以上を決めるという分析もあるようです。上記のメンバーの研究によるとブランド構築とパフォーマンスマーケティングの効果をブランドエクイティに照らした絶対的な指標として把握して、それを売上・株主価値・ROIとリンクさせることでそれぞれに予算を投じるべきタイミングや規模を迅速に判断できるようになると述べています。

とても興味深い着眼点かと感じます。