Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

体験マーケティングの進化

 

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長引くコロナとの闘いに世界中の人々が疲れ気味になってきました。ワクチン接種が進めば元の生活に戻れると接種が進んでいた国々ではマスク外しやオフィス出社を開始を予定していましたが、デルタ株による感染再爆発によって延期を余儀なくされています。日本ではワクチン接種が進んでも秋冬の社会経済活動が正常にできるかどうか不透明さが増しています。医療崩壊を何としても食い止めなければならない今、コロナ慣れ、バーチャル疲れは人々のリアル行動を掻き立てる一面を持っています。こちらはまさに要注意です。

パンデミックが起こる前からVR、ARやプロジェクションマッピングを活用したイベントや施設でリアルに加えてバーチャルな工夫でもってよりユーザーとの結びつきや高揚感を生み出す動きはすでにありました。しかし、この1年半の間はリアルなしのバーチャル体験にシフトせざるを得ませんでした。「ブランドも消費者も、昨年は新しい現実に適応してきたが、1日1日とバーチャル疲れが蔓延しているのを感じる。リアルな結びつきへの欲求が高まっている」とCAAブランドコンサルティングのミシェル・ロガーノ氏が述べているように、画面を通じた映像や音声だけのイベントに人々は飽き始めていると感じます。

こうした状況はブランドにとって以前よりも創造的な方法で消費者の関心をつかもうとする動きにつながっています。たとえば、バカルディはナイトクラブでティスティングとエンタティメントの代わりに、バーチャルバーテンダーを登場させた試みで見込み客を増やしました。技術を駆使して、実際にイベントに集まっている雰囲気を作り出しました。ニュージーランドワインのキム・クローフォードは無観客で開催が決まった全米オープンテニスで例年の試合会場でのイベントや商品提供の代わりに、フィットネス系インフルエンサーが登場するライブソーシャルイベント「試合の合間にフィットネスしよう」を立ち上げて視聴者をワークアウトに参加させました。バーチャルコンテンツと事前撮影したコンテンツの組み合わせ、小人数の対面イベントとバーチャルの合体などブランドやコンテンツ制作会社は対面イベントをバーチャルで再現するだけでとどまらない手法を行うようになりました。「バーチャル疲れ」を超えるような新たな感情的な絆を作れるアイデアや方法が必要となっています。

パンデミック後、多くの人の働き方が在宅と出社のハイブリッド型になっていくのと同じように体験マーケティングもライブとバーチャルの両方をブレンドする時代となることでしょう。

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東京2020開会式を見て

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開催の是非をめぐってこれほど世論が割れ、一方、パンデミックが収まらない中、これほど世界が注目するオリンピックは史上初めてではないでしょうか。2020東京オリンピックパラリンピックが感染拡大を抑えつつ、最後まで無事にしっかり行われることを切に願うばかりです。

さて、みなさんは昨日(7月23日)の開会式(オープニングセレモニー)をご覧にななられたでしょうか。極めて個人的な感想ですが、テレビ(おそらく世界中の人々と同じ)で見る限り、間際までのトラブル続きに屈せずよくここまでやったと感じました。オープニングセレモニーとして日本のプレゼンスと人類共通のテーマを上手くマッチングできた演出でした。競技場内の聖火ランナーの姿から過去・現在・未来の日本の在り様をしみじみ汲み取ることができました。また、持続可能な社会を目指すことを意識したドローンで描いた青い地球と大会エンブレム、水素を燃料とした聖火台などは共通メッセージになっていたかと思います。当初からのコンセプトである「多様性と調和」、「未来への継承」、「全員が自己ベスト」は苦難の末の開催によって内なる秘めた力が増したように思えました。であれば改めてエールを送りたいと思います。

今回アスリートが目指す「より速く」、「より高く」、「より強く」の言葉に新たに「一緒に」(Together)が加わりました。それは何といっても前回のリオデジャネイロから5年が経過して世界が変わったことを表しています。コロナによるパンデミックは強者と弱者の差をより大きくしました。現状ではワクチンの有無がそのまま感染拡大による医療崩壊や経済ダメージに直結してしまっています。また、貧困や差別だけでない人権問題、さらに気候変動問題などが深刻さを増して一気に吹き出しています。これらの諸問題は多くの国々や人々が一緒に取り組まなければ解決しないことです。「一緒に」は言うは容易いですが行うは難しです。その中で難民選手団の参加は一石を投じていますね。しかし、物理的な交流が大きく制限されている今大会では残念ながら難しいと言わざるを得ません。

もう一つここで忘れてはならないことがあります。それはポジティブなレガシーをいかに残すかです。オリンピックをブランドとして考えるならば、オリンピズムによって人間の尊厳を元にした平和な社会の推進をスポーツを通じて達成することが普遍的な使命と言えます。今、世の中ではたとえ小さなブランドでさえもより社会性を意識した形に変貌しつつあります。であればオリンピックは東京大会を契機に原点に立ち戻り、パーパスを問い直し、軌道修正していくことが必須かと思われます。おそらく、従来の行き過ぎた商業主義(米国のTVの放映スケジュール優先など)から脱皮することも考えてみたらどうでしょう。

 

 

リスクコミュニケーションの大切さ

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「オリンピックは無観客が望ましい。やるのであれば感染が拡大し、医療がひっ迫しない方法でやってほしい。そのために専門家として、どんなリスクがあるのか、それに対してどんな工夫が考えられるのかを提言に書き込んだ。」と先週政府の分科会の尾身茂会長が述べました。その後、実際にどうなっているか、社会・経済活動から発生するリスクについてどのように合意を形成すればよいのでしょうか。

リスクに関して利害関係者とコミュニケーションを図るプロセスは「リスクコミュニケーション」と呼ばれています。このリスクコミュニケーションの歴史は米国の社会運動や消費者運動とともに進化してきたと言われます。リスクコミュニケーションの成否は利害関係者間の理解と信頼のレベルがどれだけ形成されたかで決まります。つまり、相互の意見交換を通じてみんなが納得する合意形成を得られたかどうかよりも、情報伝達-意見交換-相互理解-責任の共有を通じた信頼の構築を目指して行われます。昨年、パンデミックが広がったころ、米国ではトランプ大統領とCDC(疾病対策センター)の間で大きく意見が乖離し、それが州によって対応の違いを生みだし、結果として感染者を増やす大きな一因となりました。では昨年の日本はどうだったか、予防-検査-治療における問題点はしっかり解決されたとは言えないものの、利害関係者の相互努力によって政府-自治体-企業-国民の間での信頼のレベルはなんとかキープできたと感じています。しかし、冒頭にあるオリンピック開催によるリスクについて信頼のレベルは低いと言わざるを得ません。

さて、これから必要なリスクコミュニケーションと言えばワクチン接種についてです。バイデン大統領は「独立記念日の7月4日までに、成人の70%が少なくとも1回のワクチン接種を受ける」という目標を掲げています。重要なのはワクチン接種後の感染率が0.01%になっているデータ、1回目と2回目で異なるワクチンを投与した場合の効果、2度目のワクチン接種を遅らせた場合の効果に関する研究などが続々と発表されていることです。一方でワクチン未接者の感染リスクは依然として残っています。現状ではワクチンの有効性が高いうちに多くの人に「接種して変異株を生じさせないことがコンセンサスになってきました。すでに成人の50%以上がワクチン接種を打ったところまで来ましたが、20%以上の国民は接種をためらっているとも言われています。

そんな中でカリフォルニア、ニューヨークなど各州はユニークな方法でワクチン接種促進キャンペーンを積極的に行っています。そしてこの動きはブランドにも広がっています。例えば、ユナイテッド航空はワクチン接種を完了したマイレージプラス会員向けに無料フライトが当たる懸賞キャンペーンを実施、若者にも訴求するため利用クラスは問わず、6月中に抽選で30組に全世界で使える往復航空券と7700ドル(約84万円)をプレゼントするものです。バドワイザーのアンハイザーブッシュ社も目標に達したら全成人にビールを1杯ずつ提供する発表を行いました。

日本ではワクチン接種が遅れていましたが、ここにきて政府や自治体によるワクチン接種に加えて多くの企業や団体による職域接種が始まりました。しかし、ワクチン接種に関する情報伝達は不足していると感じずにはいられません。また、ブランドや企業の動きも控えめです。相手に理解や協力を求めるリスクコミュニケーション(信頼の構築)をもっと意識していかねばなりません。

 

 

 

 

 

テレビ広告の主流が変わる

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1990年代の国民的大ヒットシリーズ「古畑任三郎」の主演田村正和さんが亡くなられました。当時は私自身広告業界に入ってまだ日が浅く、勉強のためテレビを今よりもずっと多く見ていました。6年間のドラマの平均視聴率はなんと約25%、インターネットが世の中に登場する前夜のテレビ全盛の時代でした。

さて、パンデミックの最中の今年、例年より約2か月遅く米国で行われた第93回アカデミー賞授賞式(米ABC)ですが、盛り上がりに欠けたショーに終わりました。米国ニールセンの発表によると平均視聴者数はわずか985万人、昨年過去最低記録(視聴者数2360万人)だったので、視聴者数が約58%も減少したことになります。これはさすがに異常値ではないかと思い。他のプレミアを調べるとやはり同じ傾向でした。アカデミー賞より少し前に開催されたグラミー賞(米CBS)でさえ平均視聴者数923万人、18~49歳の層の視聴率2.28%と過去最低の数字だったとのことです。

日本はどうかというと昨年末の史上初となった無観客で行われた紅白歌合戦の視聴率は40.3%(ビデオリサーチ調べ)、2部制となって以来最低だった前年より3%上がったという結果でした。しかし、先週NHK放送文化研究所が5年に一度実施する「国民生活時間調査」によれば、平日の1日にテレビを見る人の割合は5年前に比べて85%から79%に減ったとありました。初めて8割を切る数字です。さらに気になるのは若年層の数字です。米国と同様に日本においても16~19歳で5年前の71%から47%へと大幅に減少しました。もはや半分の若者が1日にテレビを見ないで過ごしていることになります。

2021年の今、日本を含めて世界中が特殊な状況にあります。昨年は巣籠り需要が増して従来型のテレビも一時的に伸びたといわれましたが、蓋を開けるとパンデミックの中で伸びているのはデジタルということが明らかになりました。一方、パンデミックは健康、人権、不正義、気候変動、経済の2極化に対する関心を高め、結果として「信頼」が何よりも不可欠となりました。信頼を得られるかどうか、いい加減なデータや不透明さが解消されなければ、従来のメディアはもちろん、デジタルメディアであっても退場していくことになるに違いありません。テレビの主流は従来型からネットテレビに移っていくことは自明の理と言えるでしょう。

ブランドにとってはより優れた精度でリーチ可能な属性情報を持つ視聴者に向けて広告できるようになります。さらに今の消費者は、9種類くらいのタッチポイントにまたがって揺れ動いています。ライブ配信のデモ画像、ゲーム、ユーチューブ、ソーシャルコマースなど。こういう周縁的な場所でうろうろしながら、ひらめきと出会ったり、交流したり、買い物したりするようになって、昨今では、消費者がいる全ての場所に、購入ボタンを仕込んでおく必要が出てきます。ネットテレビはこちらにも対応していくに違いありません。

不評だったアカデミー賞授賞式ですが、テレビコマーシャルのほうはそれなりに見ごたえがありました。たとえばverizon、会場の360度カメラビューや5Gアプリを紹介、番組をブランド体験と上手に結びつけていました。

 

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消費の最適化は善

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映画「不都合な真実」が公開されてから15年が経ちました。2007年に行われたカンヌ国際広告祭にちょうど参加していたので当時「グリーン・ライオン」を送られたアル・ゴア氏がスピーチで広告業界人に対してもっと世の中に善=GOODを伝えるパワーを発揮してほしいと述べたことをよく覚えています。北極の氷河が崩れていくビジュアルは実にショッキングでした。しかし、その後はどうなったか、「大人の事情」によって遅遅として進まない状況にグレタ・トゥーンベリ氏が2019年国連で行った演説は不作為の罪に対する痛烈な訴えでした。

そして今、一気に潮目が変わりました。先週米国主催の気候サミットで欧米が打ち出した温暖化ガス削減幅(2010年比)では約50%、日本は42%、外圧を受けて日本も2050年までの「脱炭素社会」の実現に向けたロードマップを決定しました。2030年度までに、全国で少なくとも100か所で先行して「脱炭素」を達成し、各地の先進的な取り組みを全国に広げるとのこと、本当は原発なしで2050年を待たずに「脱炭素」を実現できたらと思います。

脱炭素社会の実現にはまず各国のエネルギー政策の大転換が必要ですが、企業や個人にとっては地道にできるボトムアップな活動があります。それはSave=節約という行動です。消費自体を抑えることはエネルギー使用を減らすことにつながるからです。3R(Reduce, Reuse, Recycle)、「もったいない」の心です。日本人は昔から「使いきる」ことを美徳としてきました。しかし、これだけだと経済を萎縮させてしまう恐れがあります。ではどうすればよいのか?新技術や新発想による「省エネ」性能向上こそもう一度注目すべきと考えます。なぜかといえば、我慢や苦痛を生じさせずに「知らず知らずのうちに、楽してエネルギーの使用を抑えることができるからです。日本が昔から得意とする分野です。現代ではAIやセンサーを活用して「Save=(節約)を楽にできるようにする」は大きな社会ニーズだと感じています。

たとえば、一般家庭で一人が1日で使う水の量は219L(東京都水道局平成27年調べ)、2Lペットボトルで約110本、そんなに使っている実感はありませんよね。なんと米国人では最大一人1日500Lものの水を使っているといわれています。そんな中、今年のCESでP&G社が「50Lホーム」(1日50Lで生活する)という体験プログラムを披露しました。また、ロレアル社は水滴を10分の1にする技術を持つ会社と組んで「L'Oreal Water Saver」を発表しました。大量の水を使う美容院で水の使用量を客に合わせてパーソナライズでき、水の使用量をなんと80%節約できるそうです。日本勢ではTOTO社が家庭の水の全使用料の約20%を占めるトイレの節水イノベーションを披露しました。

今、ブランドにとってイノベーションによる「Help Saving Easy:消費の最適化」のコンセプトは三方良しを達成する新たな切り口と言えます。

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消費者と呼ぶのをやめよう

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雨降る日曜日の午後、話題の映画「ミナリ」を鑑賞しました。すでに本年度アカデミー賞で作品賞をはじめ6部門にノミネート、A24とPLAN Bという新進気鋭のプロダクション作、韓国人一家が米国に移民して成功を夢見る中での挫折と家族愛を描く表面的には地味な内容なのに絶賛されている、という点で興味を持っていました。まさに「幸せ」とは何かについて、深く、美しく、切なく、国や人種を越えて語りかける力を持つとても素敵な作品でした。

映画は1980年代のアーカンソー州の田舎、とても農業に恵まれているとは言えないような土地が舞台、アメリカンドリームを幸せとイコールに考えながら貧しさを耐えて逞しく生きる移民家族の姿、夫婦間、子供から親、親から子供、おばあちゃんから子供や孫、子供や孫からおばあちゃん、それぞれの視点からの人と人、人と家族との思いが丁寧に描かれていました。昨年のアカデミー作品賞に輝いた韓国映画「パラサイト」も貧富の格差を半地下の家族を通じてブラックコメディ&ミステリータッチに描いた作品でしたが、「ミナリ」も同様の社会問題が根底にあります。舞台は米国ながら貧しい社会風景は一緒です。只、両作品の間には大きな違いがあります。それはまさに作品自体というよりもビフォアコロナとアフターコロナによって受け手である人々の気持ちの大きな変化です。一言で言えば、COVID19で痛みつけられた世界の人々の心を癒す(一言で表現しにくい)スペシャルさをもつ映画となったのです。

「ミナリ」ではおばあちゃんの存在がストーリーに深みを醸しだしています。今、日本では2025年になると全人口に占める高齢者比率が約30%に達する見込みです。日本のDX化が米国と比べてなかなか進まない理由のひとつであるとも言われます。なぜなら米国では2025年ミレニアム世代とZ世代を合わせると75%になることからデジタル世代にフォーカスして一気にデジタル化を進められるという意味です。果たしてそうでしょうか。むしろ高齢者といってもこれからの60歳と70歳と80歳では健康・仕事・家族・生活環境は全く違います。高齢者をステレオタイプ化せずいかにDXで対応していくかの方がはるかに重要かと思います。なぜなら日本の場合は高齢化比率が高く、消費も当分活発なのでこちらを後回しにするのは得策ではありません。さらに、コロナを経て今以上に「人が人を想う」、「人の思いを感じる」、そこから生まれる感情や行動に価値がある世界が間違いなくやってくる気がします。DXが人々に幸せをもたらすためにあることを忘れてはなりません。ブランドにとってはコンシュマー=消費者という呼び名をやめて一人のヒューマン、パーソン=共感相手としてみなしていく時が来ています。

 さて、映画の感動に浸りながらエレベーターを降りて映画館を出たとたん、ユニクロが目に飛び込んできました。早速、店に入ってAIRismマスクを手にとりセルフレジで決済、たった5分で買い物終了、再び外に出て自分が「現代人だな」と思わず感じてしまいました。

 

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何を知らないかを知らない

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先日何人かとリモートで話をしていた際、フードロスの話題になりました。そこで驚いたのが「まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物」の半分は家庭から出ているという発言でした。「えー、ほんと」、それまでホテルの立食パーティやコンビニの賞味期限切れのおにぎりのイメージが強く、業務用での売れ残り、食べ残し、などが圧倒的かと思いこんでいました。農林水産省のデータを見て見ると日本の1年間の食品ロス612万トンのうち、事業系は328万トン、確かに半分近くの284万トンは家庭からの食品ロスとのこと。家での料理の食べ残しや使わずに捨ててしまう材料、言われてみると我が家でも賞味期限切れドレッシングやレトルト食品に限らず、野菜の食べられる部分をどれほど捨てているか、意識がなかったと言わざるを得ません。

驚愕の事実と言えばもうひとつ、全世界の人口のうち25億人に処置していない虫歯があるそうです。米国では6歳から11歳の子供の約半数が何らかの虫歯があり、乳歯で虫歯になると、大人になってから永久歯で虫歯になる可能性が4倍に上昇すると言われています。100年人生にとってオーラルヘルスは極めて大切です。私自身も100点満点とは言えないまでも毎日80点以上の歯磨きをしていると思っていましたが、平均でみると1分程度、国によっても違いますが、日本では毎食後3分間の歯磨きを推奨しています。もちろん、長さだけでなく正しい磨き方をしているか、米国では正しく歯磨きを行っている人はわずか20%という話を聞きました。ここでも無意識の言行不一致があります。人々が正しい歯磨きをしていると思い込んでいる錯覚です。

P&G社はこうした人々の言っていることと行動の違いをデータに基づき、オーラルヘルス改善のイノベーションを起こしました。Oral-BiOという電動歯ブラシです。最新の磁石電動機を搭載したうえで、圧力検知システムによって強すぎると赤く、弱すぎると白く光ります。また、アプリと連動して口内の16のゾーンについてすべてよく磨けているかを指導し、良く磨けているとスマイルマークが表示される人間らしさも兼ね備えています。臨床試験の結果、この歯ブラシを使うと自然に歯磨き時間が2分55秒に伸びていたそうです。まさに45秒しか磨かなかった人々の習慣を変えることに成功したのです。

「自分が何を知らないかを知らない」、実は多くに共通する人間の特性です。今もなおマーケティングのヒントを生み出す鉄則と言えそうです。ブランドにとって、無意識のルーティンにあるニーズを見つけて喜んでもらう解決法をはかるチャンスはまだまだありそうです。

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