Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

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そもそもを考えるとは

2024年、世界では選挙イヤーと言われています。なんと約60か国・地域で国家レベルの選挙が実施される史上最大の選挙イヤーになる見込みです。おそらく今後の世界がどうなっていくのか大きな節目となりそうです。

さて、選挙といえば日本は国政選挙でさえも50~60%の投票率しかありませんが、デンマークでは85%もあるそうです。どうしてこんなに差が出るのだろう。昨年コペンハーゲンを初訪問してますます好きになったデンマークからもっと多くを学びたいと思い先月都内で開かれた勉強会に参加しました。デンマークと日本を比較すると似ているところもたくさんあります。両国ともに王室や皇室を大切にする民主主義国家であり、信頼をベースにした社会、学び続けられる社会、デザインや工芸、生活雑貨への関心が強いなど、特に清潔なところは日本文化とも相性がとても良いと感じます。一方で、幸福度やジェンダーギャップ、報道の自由度などでは大きく日本は見劣っています。

デンマークの人たちはそもそも(WHY)を考えるのが得意です」とニールセン北村さんが教えてくださいました。なるほど、そもそも椅子とは、そもそも教育とは、そもそも街とは、そもそも民主主義とは、そもそもデンマークはどんな国にありたいのか、という問いの答えがいたるところで実践されています。HOWやWHATではなくWHYから考えるには幼いころからの教育においてなんでも聞ける環境が大切です。タブーや忖度がはびこらない社会だからこそ実現できているのかもしれません。もう一つ印象に残ったのは能力のある者には義務がある(Den der ber evnen, har pligten)という言葉です。出る杭は打たれるという日本の伝統的な空気とは真逆、だしおしみをせずにどんどん社会で生かすことが義務という考え方は素晴らしいと思います。同様にダイバシティや人権の意識は日本はまだまだ弱く頼りなく感じます。只、こうした考え方をそのまま受け入れるのではなく、日本人が考えるそもそもにぶつけてみて哲学や倫理観を高めていくことが大事だと思いました。冒頭に日本の若者や子供は忙しすぎるのでは?と北村さんがつぶやかれていましたが、若者や子供に限らず深く物事を考える時間や体験を持つことがますます大切だと感じます。

人や社会の中で存在するブランドは性能や品質は別として「~~の国生まれのブランド」としてこうした考え方の影響を多かれ少なかれ受けています。独自性を失わずに良い点、たとえば上記の闊達な合意形成力、能力を社会に生かす義務といった考え方を組織にどう取り入れたらよいか、考えて実行できるブランドこそ、真の多様性があるブランドと言えるのではないでしょうか。