Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

西から南へ

麻布という地名が大体定着したのは江戸時代初期にさかのぼります。元々の地名の由来はかつてこのあたり一帯で人々が麻を多く植えて布を織っていたからと言われています。その後江戸の発展と共に武家・大名屋敷が増えていきました。幕末にはアメリカ公使館が麻布善福寺におかれたこともあります。今もなお非常に多くの大使館が点在しているのはそのせいかもしれません。明治になってからは東京府麻布区となり武家屋敷跡地が次々と外国の大使館や住居になっていきました。と同時に高級住宅地として名を馳せるようになり洒落た独特な雰囲気を持つ地域として現在に至っています。先月開業したばかりの麻布台ヒルズは今のところ日本一の高層ビルとあって大きな話題となっていますね。五十音順で言うとアルゼンチン大使館に始まりロシア大使館に至るまで40カ国以上、国際色の豊かさは日本一と言えるでしょう。ビービーメディアが現在入居している西麻布のビルには13カ国の大使館や領事館が存在していました。

西麻布という地名は港区になってからの新住居表示により変更されたものです。かつて都電が走っていた麻布霞町交差点を中心に北東から時計周りに1丁目、3丁目、4丁目、2丁目の順番となっています。ちなみに東麻布、南麻布、西麻布はあっても北麻布はありません。今も江戸時代の面影を残す住居表示は麻布狸穴町麻布永坂町麻布十番でしょうか。西麻布と言えば夜の街のイメージがありますが実はレジデンスを中心とした静かなエリアです。隣の六本木と比べて大人の夜を過ごすイメージができたのは1985年にヒットした「雨の西麻布」の影響もあったかと思います。どの駅からも程々遠く隠れ家的なお店が多いのが特徴です。一方で2003年に開業した六本木ヒルズを皮切りに、2006年に表参道ヒルズ、2007年にオープンした新国立美術館、六本木ミッドタウンなどと程近い場所でもあります。さらに2010年代に入ると渋谷の再開発が本格化したことで麻布の中で一番渋谷に近い(歩いて20分強)西麻布はとても良いポジションと言えます。

ビービーメディアの母体であったアートパブリシティが西麻布に事務所を開設したのは今からほぼ60年前。私自身西麻布で働き始めてから33年余りが経過しました。光陰矢の如し、西麻布自体はこれまでほとんど変わらず(西麻布3丁目再開発をはじめこれからは変わっていくでしょう)、むしろ周りの再開発によるプラス面を享受してきた気がします。そして西麻布に長く居を構えて仕事をさせていただいているビービーメディアにとっても大変な恩恵に預かったと感じています。西麻布のまち、そして西麻布でお世話になったみなさま一人ひとりに心から感謝を申しあげます。

ビービーメディアは来年1月から西麻布から南麻布に拠点を移します。これからは南から西を眺めることになりますが、みなさまには引き続き変わらぬお付き合いのほどをお願いいたします。