Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

使い方次第と心得る

生成型AIの登場によって写真や音声、世界の出来事を誰もが自由自在に作れる時代になりました。ブランドコミュニケーションの世界でもさまざまな活用事例が既に生まれています。例えば、コカ・コーラはいち早くChatGPTとDELL-Eを歴史あるコカコーラの広告クリエイティブの数々と組み合わせた新しいクリエイティブ共有サイト(Create Real Magic)を立ち上げました。これはコカ・コーラが常にイノベイティブで新鮮で楽しいブランドであることを訴求するのが狙いです。ナイキは女子テニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズを起用してAIが分析した1999年と2017年のプレーの違いをもとにお互いで試合するエンタメコンテンツを制作しました。ナイキが持っている過去のデータ財産を巧みに利用した好例です。

AIは広告だけでなくマーケティング全体にデータ活用のレベルを上げる大チャンス到来をもたらしました。スターバックスのAIプラットフォームであるDeep BlueはAIと機械学習を用いて顧客体験をパーソナライズし、店舗オペレーションを最適化し、在庫を管理します。顧客の好みを理解し、パーソナライズされた提案、プロモーション、ユニークな体験を提供できるだけでなく、店舗スタッフの配置を最適化することで効率的なサービスを実現し、在庫の必要性を予測して人気商品の品切れを防ぎます。これによってバリスタは優れたカスタマーサービスを提供し、顧客との個人的なつながりを作ることに集中することができます。ナイキはNike Fit アプリの中でARとAIを結びつけてユーザーがアプリの中で自分の足をスキャンしてそのデータを送ると最適な靴をAIが提案するというサービスを行なっています。共通しているのはいずれもAIを利用して卓越した顧客体験(CX)に結びつけていることです。生成型AIもこの王道に沿って活用していけば良いはずです。

巷では生成型AIによって文章や画像や映像が簡単に誰にでもできることや既にソーシャルメディアが草の根的につながるようになっていることから生成型AIの技術を利用したフェイクコンテンツが一気に世界中に拡散されてしまうといったネガティブな意見が聞かれます。確かにその通りですが人々に虚偽や誤解を招くような情報はそもそも生成型AI製であろうとなかろうと好ましくありません。どんなにAIの性能が上がって偽物のサインがわからなくなろうともNGです。一方でブランドはこれからもAIを素晴らしい顧客体験(CX・UX)の実現と前提となるブランド体験(BX)の変革にとって有益なツールとして積極的に利用すべきと考えます。