Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

 情報の在処

かつて学生時代はもちろんのこと、社会人となった後も能動的に何かを調べる際には本屋や図書館に行って文献やレポートを探したり、その分野に詳しい専門家を探して聞いてみたり、自身で現地を調査したり、とにかくどこに有益な情報があるか探すのに時間がかかり、情報の在処はバラバラでそれぞれやってみなければわからない有り様でした。それがインターネットの検索エンジンによって大概の情報がほぼ即座に入手できるようになりました。グーグルの1998年創業時の理念「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできてそれらを利用できるようにする」は25年経って一面では見事に実現しました。人々は検索を繰り返しながらより確かな情報を探し、自らで編集し知識とするようになりました。

21世紀に入ってから情報をオンラインで集めることが常識となり、情報収集とは「まずグーグルで検索し、検索エンジンが表示するリンクをクリックすること」を意味するようになりました。まさに検索エンジンが情報の在処。その後今度はスマホSNSが誕生し、ほぼシンクロしながら成長してきました。かつてSNSは個人的な小話を友人知人同士で共有することが主体でしたがSNSでの滞在時間が長くなるにつれ、検索がSNS上でも行われるようになりました。さらなる変化はSNSが一握りのプラットフォーム内で情報が作られてそれ以外はもっぱら視聴者と同じく増幅に一役買っているだけの状況が生まれたことです。全体としてSNSの受動化が進み、TikTokのような動画SNSによってさらにTV化しています。いずれにせよ検索が私たちの情報収集活動をずっと支配してきたと言えます。

しかし、急激に進む生成型AIの普及が検索を繰り返して情報に辿り着くという私たちの常識を変えていくかもしれません。専門家の中には「検索エンジンを使って情報を探すことは新世代大規模言語モデルを搭載したシステムによって置き換えられる」と述べる人もいます。また、特定のトピックについて、例えば「高タンパク・低脂肪の食事の正しい取り方」を質問するとこのテーマに対する著名で信頼性のあるトップ10の論文や記事を要約し、かつ最新のトピックを提供することで、グーグルやChatGPT以上の体験を提供するスタートアップも米国では出現しているようです。AIが偽情報やフェイクなどの情報作成にも使われている点には注意が必要ですが、個人的にはある一定の精度が得られれば、ほとんどの人は時間節約になるのでこれから従来のウェブ検索は減っていく可能性があると感じます。

情報収集活動がサーチエンジンからアンサーエンジンに移行していくのか、まだ紆余曲折が予想されますが、ユーザーにとっては選択肢が増えるので良いことだと思います。ブランドの視点から見ると「AIにとっての重要な情報源」となることがより肝要となります。そのためには信頼される有益な情報をもっと発信し続けていかねばなりません。