Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

AI製とヒューマン製(Made by Human)の違い

このところAI(人工知能)の話題が巷に溢れ、誰もが自分の仕事にAIがどんな影響を及ぼすか、一斉に考えるようになった気がします。TVのワイドショーはもちろん、SNSでも次から次へとAIの新しい話題が登場し、一年前には予想できなかった状況となっています。「チャットGPT」はもしかすると今年の流行語大賞になるかもしれませんね。「文書作成、画像生成、プログラミング、データ分析までAIでこんな風にできますよ」という事実を見ると人間が行ってきた高度な頭脳労働の少なくとも一部はAIが今後担っていくものと確信します。

では広告クリエイティブの世界ではどうでしょうか。個人的に言うと実はAIが圧倒的にポジティブをもたらすと期待していますし、一気に広がるのではないかと考えています。その第一の理由として生成AIの可能性は無限なので人の想像性を掻き立てる点でとても相性が良いと感じているからです。逆に言えば下書きはAIで行いその先は人がブラッシュアップするのが基本となります。もちろんAIがさらに進化して完成度が高くなると人間の仕事がAIに奪われてしまうという恐れも出てくるでしょうが、後で述べるとおりAI製と人間のクリエイティブは分別されるのではと思ったりしています。既に米国ではAIで作成されたコンテンツや文章はその旨を明記しなければいけないという動きが出ています。第2は時間とコストの削減です。AIを使えば広告コピーや画像制作にかかる時間とコストは大幅に削減が可能となります。現在大きな課題となっている労務・残業問題の解決につながります。そして普及する3番目の理由は他社に後れをとるわけにはいかないという危機感です。

さて、AI製について仮説を述べてみたいと思います。ペンシルベニア大学ウォートン校のプントーニ教授らの研究によれば「消費に象徴的性質があるとき、人は人間の労働を強く求める」ということです。象徴的な消費活動とは自身の価値観やセンス、ステイタスや興味で行われる消費をさします。たとえば居間に絵を飾るとき自分の子どもが手書きで書いた絵と有名だけれど印刷されたポスターのどちらを人は飾ろうとするでしょうか。人の労働はユニークさに結びついている一方でロボットやAIは標準化・均一化という概念につながっているので象徴的消費をするときに顧客はロボットやAI製よりも人間が作ったほうを選ぶということになります。

この仮説が正しければAIやロボットが社会や経済に浸透していくと同時に人間の労働が持つ特別な価値も増していく可能性があります。おそらく現在のフェアトレード商品やハンドメイド商品のように認証や証明によって人間が作った価値を強調するようになるかもしれません。