Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

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人望主義

人が人を評価するにはいろいろなものさしがあります。山本七平著「人望の研究」という本には今後ますます人望主義が徹底するだろうと書かれています。書かれたのはずいぶん前ですから、先見の明がやはりあったのですね。人望は人気とは異なります。あいつは人気者だ、あいつには人望がある、この2つにはどんな差があるのでしょうか。後者には「徳」があると筆者は述べています。ではその「徳」とな何か、時代をとわず、日本だけではなく、世界で通用する「徳」、今回は「近思録」という書物をもとにご紹介したいと思います。「徳」を身につけるといっても漠然としていてどうすればよいのか、それには「九徳」を目指すことだそうです。九つの徳とは、

①寛にして栗(寛大でかつ、しまりがある。)
②柔にして立(柔和でかつ、事を処理できる。)
③原にして恭(まじめでかつ、丁寧。)
④乱にして敬(能力がありかつ、慎み深い。)
⑤優にして毅(おとなしくかつ、内が強い。)
⑥直にして温(正直・率直でかつ、温和。)
⑦簡にして廉(大まかでかつ、しっかりしている。)
⑧剛にして塞(剛健でかつ、心も充実。)
⑨彊にして義(強勇でかつ、義しい。)

いやあ、正直並の努力ではとても到達できそうにないと感じてしまいました。ただ、その真逆の「十八不徳」というのがあるそうです。こういう人間にはなってはいけないというもので、ひとつでも以下の項目があったら、上司は失格、仲間や部下からの人望は喪失してしまいます。

①こせこせしていて、しまりがない。
②とげとげしく、事が処理できない。
③不真面目なくせに、尊大である。
④能力がないのに、態度だけは居丈高である。
⑤粗暴でかつ、気が弱い。
⑥率直に言わずに、内心は冷酷である。
⑦何もかも干渉していながら、全体をつかめない。
⑧心身が弱弱しく、中身もからっぽである。
⑨気が小さいのに、こそこそ悪事を働く。

これだけ欠点だらけだと、今度は聞いているだけでちょっと落ち込んでしまいますね。

実のところ一番大切なメッセージは「人徳がない」とか「人望がない」といわれる人も、決して生まれながらの性格や性質によるのではなく、自らの心を正し、本性を養い、修行をすれば「徳」は身につくという考え方です。「徳」を学ぶことは、通常の能力とは異質で、それは科学であろうと、技術であろうと「真理」を学ぶことであり、知識を学ぶというよりも「修養」によって理解・体得していくものだと思います。