Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

新たなる求人

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AIの登場とともに将来自分の仕事はどうなっていくのだろうと思う人が増えているのではないでしょうか。来年、米国ではいよいよ自動運転による無人タクシーが稼働し始めるようです。

さて今回は広告・マーケティング業界においてこれからデジタルに強い人材として求められる職種をいくつかご紹介しましょう。これらの職種は10年前にはいずれもなかった仕事です。まず筆頭はCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)です。2020年までにCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)のうち40%はCXOの部下になる見通しとのこと。次にVRエディター、なんとリンクトインには1400人のVRエディターの求人があるそうです。3番目はデータサイエンティスト、機械学習人工知能・データ最適化に関する理解をもった人です。2020年までに2000億ドルの産業にまで発展する見込みとのこと。4番目はオムニチャネル小売りストラテジスト、この肩書はまだ登場したばかりですが、リンクトインの求人情報では400人がオムニチャネル・マーケティングという説明で掲載されているようです。要するにEコマースと小売店舗の両方で小売り経験がある人のことです。最後は今注目の音声スキル開発者。アマゾンアレクサのスキルはすでに1万5千以上開発されています。コンピュータサイエンス言語学の学位とJavaScriptPythonを使いこなせるプログラミング知識を持った人です。

実はまだまだこのほかにも続々と新しい肩書が登場しています。

これからのマーケターは「自分はどんなテクノロジーやデータに対して意欲を感じるか」を真剣に考える必要があります。でも、忘れてはいけないのはツールはどんどん変貌していくこと。デジタル分野ではなおさらです。大事なのは一分野の専門家にとどまるだけでなく、デザイン思考を理解して、消費者のブランド体験をデザインできる人になれることだと思います。

 

BとCが接近中

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先週から今週にかけて季節が一気に2か月以上進んだような気がします。総選挙の投票日も近づいてきました。一国民としてフェイクニュース(デマ)やプロパガンダ絵空事な政策)に惑わされることがないようにしなければと思います。

さて、先日B2Bフォーラムに初めて参加してきました。今回はB2Bマーケティングのトレンドについて少し触れたいと思います。アップル社のCEOであるティム・クック氏は「これまではB2CでやるかB2Bでやるかを選ばなければならなかった。今は状況が少し違う。エンタープライズ(企業)とは消費者の集合体である」と述べています。

今、多くの先進的な企業経営者は社員の幸せと生産性を考慮して、働く環境や働き方を改革しなければならないと考えています。その結果、より個人中心で創造性や生産性を引き出すことが求められるようになってきているのです。セキュリティなどの課題はあってもこの流れはしばらく変わらないと思います。

もともとデジタルマーケティングはターゲットを絞ることが得意ですからB2Bとの相性が良いのでB2Cより有利です。特にB2Bではサーチが効くので呼び込めむ力を持ったコンテンツが必要です。今まで視聴者のエンゲージメントやブランドのストーリーなどあまり重視してこなかったB2B企業も気づき始めています。B2BにもB2Cのマーケティング発想が入り始めたと言えるでしょう。米国の調査によれば、「成功している企業はそうでない企業より49%多くビデオを活用している」というデータもあります。また、言うまでもなくFacebook、LinkedinなどのSNSがエンタープライズの世界にもすでに入っています。動画の用途はさまざまですが、制作のクオリティも上がってくると予想します。

個人と企業の垣根が低くなった中で、B2Bマーケティングはこれからますます面白くなっていくと思います。

不信に向き合う

北朝鮮のミサイル発射のニュースを聞く度に日本人全体の気分が何%か落ち込むような気がします。嫌なムードが世相にじわじわと表れて人々の笑顔が失われないよう願うばかりです。実はグローバルで見ても現代は不安と不信感の時代、マズロー欲求の底辺である安全、安心、安らかな生活などが今ふたたび、最優先事項となりました。

これはブランドの行動にとっても重要な影響を及ぼします。ヘイトスピーチやフェイク記事、倫理やモラルを逸した不適切なコンテンツとブランドが近づくことは「ブランドエクイティの毀損」につながりかねません。それはなぜか、ブランドへの信頼を傷つけるからだと思います。米国では望ましくないサイトをブラックリスト化するのではなく、望ましいと考えるチャンネルをホワイトリスト化する方向に移行しつつあります。

J&J社のデボラ・バス氏はブランドマーケティング成功の判断(KPI)は何かと聞かれて①ブランドの特徴(機能+感情)をより築けたか。②本業を通じて社会に貢献する企業理念を表現できたか。と答えています。D・アーカー氏による1991年に書かれた本の中で分類された(ブランド認知、ブランド連想、ブランドロイヤリティ、知覚品質)がブランド資産を高めることに通じるという基本は変わっていません。大切なのは目先の目的や手段先行(目立ちたい、拡散させたい、ターゲットに効率的に届けたい)となって本来目指すべきエクイティを見失わないようにすることです。

一方、ブランドは完璧ではありませんし、スピードと変化が激しい状況にあってますます試行錯誤していかねばなりません。むしろ、スープにハエが入ったらすぐに取り除くことが今もっとも大切なのではないでしょうか。

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ブランディド・〇〇

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ブランディド・〇〇が花盛りです。まず、ブランディド・エンターティメント。この言葉は「映画やTV番組、ゲームなどのエンタテイメント・コンテンツと連動したブランドコミュニケーションの手法のこと」と一般的に定義されています。これが注目されるようになったのは消費者が広告を見なくなりつつある中、消費者がより関心を抱く魅力あるコンテンツがますます重要という考え方が背景にあります。

「手法」とある通り、この言葉が生まれるずっと前からこの手法はすでに存在していました。半世紀前の、007ゴールドフィンガーに登場したアストンマーチン男はつらいよでとらやのみんなが飲んでいたビール、など今も記憶に残っています。インターネット時代に入った後、もっとも印象深かったのは2001年に登場したBMWフィルムズでした。まだ、スマホはおろかユーチューブすらなかった時代に全世界で年間1400万回も見られたと言われています。ガイ・リッチーをはじめとする7人の有名監督を起用した大迫力のカーチェイスのショートムービーでした。最近ではペプシマックスによる2012年から大ヒットしているオンライン動画アンクル・ドリューが秀逸です。アンクル・ドリューは若者たちのバスケに口を出す老人なのですが、なんとNBAスター選手が特殊メイクで老人に扮し、びっくりするスーパープレイをする痛快なストーリーです。ペプシコはこれをもとにした長編映画を計画しているとのことです。

次にブランディド・コンテンツ。こちらの定義はあいまいながら、「従来の広告の枠を超えてブランドと消費者と社会をつなぐメッセージをもった創作物」と私は考えています。ブランディド・エンターティメントで成功するにはタイアップにせよ自社制作にせよ相当な資金が必要で、そう多くの企業ではできません。一方で、ブランディド・コンテンツはアイデアと実現力があれば小ぶりであっても素晴らしいコンテンツを創れる可能性にあふれています。ジョンソン&ジョンソンの「7minute wellness」はその好例です。妊婦の健康管理をサポートするアプリですが、テクノロジーがドライバーとなって可能性を広げています。ビービーメディアはこの分野においても卓越したプロダクションになりたいと願っています。

 

挑戦者求む

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かつてマーケターはデジタル時代の到来が自分たちに新しい武器を与えてくれると期待していました。そして従来のマスマーケティングに加えてより消費者とのone-to-oneマーケティングが実現すると信じていました。ブロードバンドが死語となったようにもはやデジタルの枕言葉がいらないぐらいデジタルの意味は広がると同時に当たり前となりました。そしてふと周りを見回すと、、。

アルファベットインクのグーグルとフェイスブックはデジタル広告の世界で他を圧倒する高さでそびえています。デジタルが広告の主役となり、世界の広告市場の半分を2社が独占する勢いです。人々はデジタルで新しい力を得ましたが、広告市場で見る限り健全な状態とは言えないようです。そして今も登場してくるライバルを次々に買収するか、倒しながら圧倒的な強さを増しています。

第3の選手はどこから登場してくるのでしょうか。一番近い位置にいると言われているのはアマゾンです。すでにサイトで検索連動広告とディスプレイ広告も提供しています。2社にとっての脅威はアマゾンが持つ消費者の購買データを広告と結び付けられることです。イーマーケター社の推算によれば、アマゾンの広告収入は全世界で18億ドルとのこと。アマゾンがやってくるとしたら、そこに日本企業は太刀打ちできず、入り込む余地が少なくなるような気がします。違う土俵で戦う発想をもっと持たねばなりませんね。

「新しい変化は新たな顧客・社会の課題を連れてくる!」の発想をもって自分たちができることにより果敢に取り組んでいきたいものです。

 

モバイルなのにリーンバック

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モバイルとテレビの違いのひとつはリーンフォワード(身を乗り出す)かリーンバック(後ろにもたれる)かと言われます。確かに画面が小さく、指で操作するのですからモバイルは前のめりになります。一方、昨今のテレビは大型化してすべて手元のリモコンで操作、ソファーに座って観るイメージです。SNSの多くも当然モバイルが中心でありリーンフォワードです。

このことは動画広告を考えるうえで面白い視点のひとつです。まず、人間の集中力との関係があります。テレビは番組の間や前後にコマーシャルが流れます。つまり、コマーシャルが流れる時は解放されたオフの状態、一方ネットではこちらから情報を探そうと集中している中で動画広告が現れます。当然ながら拒否感が強くなります。さらにSNSではユーチューブ、フェイスブックツイッターなどそれぞれ特徴を持ったプラットフォームで操作性も異なり、ふさわしい動画広告も違うはずです。

そんな中で注目されるのがスナップチャットです。日本ではなじみがありませんが、世界でのデイリーユーザーは1億6千万人、フェイスブックの12億人に比べると小さいながら米国の10代の若者に絶大な支持をされています。フェイスブックはスナップチャットをライバル視して同様の機能を追加しています。なるほど、スナップチャットはフェイスブックアプリと比較すると半分の手順で動画を投稿できます。

このスナップチャットのもうひとつの特徴ですが、テレビのようにリーンバックで見られていることです。スワイプを基本とするスナップチャットのインターフェイスは友達のストーリーやメッセージをぼんやり見るのに最適で、好きなストーリーを連続して見られるモードもあります。

モバイルはリーンフォワードと決め込んでいた自分にとっては衝撃でした。ユーザーはスナップチャットで流れる5秒~10秒の動画広告にあまり苛立たないとのこと。皆さんもぜひその理由を発見してみたらいかがでしょうか。

スポーツファッションに学ぶ

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今、米国のショッピングモールは転換期を迎えています。アンカーストアといわれるMacy'sやKohl'sなども次々と閉店、絶滅する恐竜のイメージとさえ言われています。ニューヨークの旗艦店が百貨店世界一の大きさを名乗るMacy'sは今年1月数年内に100店を閉じると発表しました。日本でも銀座のプランタンが閉店したり、地方の百貨店の閉店が続いています。

ここですぐに浮かぶのは百貨店が冴えないのはネットショッピングにやられているに違いないと思いがちです。確かにそれもあるかもしれませんが、実は全米のネットショッピングは全小売支出のまだ9%にとどまっています。そういえば、ウォールマートがネット販売に本気になっている反面、アマゾンはリアル店舗を逆に開設しました。消費者は今もオンラインの便利さとは別に人間的なつながりを欲しているとの調査も出ています。

それでは現在の小売に問われている最大のチャレンジとはいったい何でしょうか。リアル店舗で勝負するにはデジタルの世界とシームレスに連携すること、他では得られない体験を提供すること、一歩先の「ハイテク」×「ハイタッチ」なパーソナルな対応がポイントとなると思われます。

ナイキ、アディダスアンダーアーマー、ノースフェイスなどがしのぎを削るスポーツファッション業界はまさにそのショーケースです。より高機能かつデザイン性がある商品を開発しながら潮流である運動の善(健康)を最大限に追い風にしています。靴やシャツのカスタマイズサービスを店内でも行うナイキ、スポーツウェアからヘルスケアまでデジタルでつなげようとするアンダーアーマー、こうしたブランドから多くのことを学ぶことができます。