連休中に日経新聞のコラム「究める」を読んでいたら、落語家の柳谷小三冶さんが次のように語っていました。「落語は笑わせるものじゃあない。笑ってしまうものなんです。それは師匠小さんの遺訓であり、その前の小さん、そのまた前の小さんの遺訓、だから私は人を笑わせることは恥ずかしいことだと思っています。」いやあ、なんと奥深い言葉でしょうか。普通のレベルでは「笑わせる」ことでも精一杯、私は落語通ではないので他の漫才と同じように考えていましたが、俄然興味が湧いてきました。
今、注目されているWOMやバイラルも実は同じことが言えるのではないでしょうか？デジタルバイラルマーケティングで名高いベンジャミンもそういえばこんなことを言っていました。「最近、広告主からYOUTUBEで話題になるようなアイデアを作ってくれと言われることが増えた。でも、たまには成功するけれど、たとえうまくいっても自社のブランドにとってほんとうに＋か疑問のことが多い」と。これは「評判」になることが目標になって本末転倒してしまうことにつながることをさしています。一過性でたとえ話題になってもブランドのコンテキストと合わないところでいくら騒がれても結局はダメだと思います。
最近発表されたのですが、米国でもバイラルマーケティングの成功確率は１５％程度とのこと、調査は必要なこととは思いますが、マスマーケティング以上に厳しいのではないでしょうか。小三冶さんは昨今の落語ブームについて「泡は必ず弾ける。その後は泡の下にある普通の水、別に言うことはありません。みんな好きなことを精一杯やればいいんです。」と達観しています。
