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Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

何故CESやSXSWなのか?

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今回は現代における情報の量と質について少し考えてみたいと思います。情報爆発によって人々に新たなニーズが生まれました。

ジャーナリズムの記事か、それともただのノイズか、その真ん中あたりか、事件をネタにしたセレブの意見を垂れ流しているだけのワイドショーや昨今のキューレーションサイトの引用や虚偽の記事などによってプロのジャーナリズムと素人のコメントの差がわからなくなりました。週末になると同じネタが何処も何度もコメンテーターを入れ替えて放送されています。人々のフェイクやノイズの発生に対する防御と情報の目利き力のニーズは間違いなくさらに高まるでしょう。

もう一つ情報の量と質について新たな視点があります。それは自分にとって意味がある情報であるかどうかです。これはTPOも含めてふさわしい情報だけがほしいというニーズです。ブランドで言うならば「高品質でパーソナルな体験」のニーズです。TVCMでも、アプリでも、写真一枚であってもこれを目指さねば埋没してしまいます。

ではその実現のために何が必要なのでしょうか。ひとつにはエコシステムの考え方が重要だと思います。J&JのCMOはAlexa経由でBabyCenterをいかにカスタマイズした体験として届けられるかをすぐ調べたそうです。CESやSXSWといったイベントが急激に脚光を浴びているのもひとつの業界でなく、コンテンツ制作、広告主、データ分析、プラットフォーム、エージェンシーが力を合わせて作り出す時代がやってきたことを示しています。

 

事実は真実とは限らない

このところフェイクニュースが大きな話題となっています。また、アメリカ政府の高官が「オルガナティブファクト」があると述べて物議を醸しました。インターネットの社会では事の真偽はさておきあっという間に広がってしまうのであとからあれはホントでなく嘘だったといっても影響は大です。

フェイクニュースとは別の問題もあります。デジタル、とりわけソーシャルメディアではいつの間にか自分好みの考えを持った事実が優先的に入ってくるようになるといわれます。フェイスブックシェリル・サンドバーグ氏は昨年秋のNYで行われた講演でこんなことを述べています。

「FBではニュースに対するコントロールはしません。あらゆる考えとニュースに対して、オープンなプラットフォームです。ニュースを統制しているのではないか、という不安があることは知っていますが、我が社はメディア企業ではありません。見出しになるニュースを決めるチームはありません。アルゴリズムが、その人の履歴にもとづいて、広告を決定するのです。けれど人々が本当に気にしているのは、むしろフィルターバブルのことだと思います。ソーシャルメディアでは結局のところ、自分の視点に合った情報ばかりが集まるので、偏極するのではないかと。」

実際にはどうでしょうか、彼女はこうも言っています。「社会学者の調査によると、人間のネットワークには強い絆と弱い絆があり、人はたいてい6人と密接につながっています。配偶者や家族など。そしてFacebookは、それ以外の人の意見を聞く力になるのです。本来だったら、話す機会はないような人の意見も入ってきます。耳に入る声の幅が広がるのです。」

ファクト(事実)はひとつであっても見方によって意味を変えてしまいます。人は事実だけに目を奪われすぎると真実を見失ってしまいます。インターネットによって世界中の夥しいファクト(事実)を目にできるようになっても実は一部しか見ていないことを忘れてはいけませんね。最後にブランディングにおいてファクト(事実)を考える時、WHAT TO SAY(何を言うか)のコンテキスト(文脈)がまずあってそれにふさわしい事象を選ぶことが肝要だと思います。

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スマート化第2章へ

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ひと昔前スマートといえば「スリム、痩せている」でしたが、今は「賢い」という意味にすっかり変わりました。なんといってもスマートフォンスマホ」の影響でしょう。スマート化はいたるところで進んでいます。ウーバーの場合はドライバーがスマートフォンを所有することに目をつけて車をスマート化しました。イオビーム(Iobeam)の共同創業者でCEOアジャイ・クルカルニ(Ajay Kulkarni)氏は「人はウーバーのことをネット対応の車だとは考えない。サービスとしての交通手段だと考える」と述べています。

IOTの必須要件はインターネットに接続することですが、そこにAIが加わったことでスマート化のステージが変わったと感じています。アマゾンの「Echo」ではふと思いつく簡単なオーダーであれば近いうちに何でも応えられるようになるでしょう。実際にアレクサの女性の声によるサービスが日本で始まるとブランドはうかうかしていられません。消費者に名前を憶えてもらうことが再び重要になるはずです。なぜなら名前がでないとアマゾンのおすすめが買わされてしまうからです。

先日スターバックスが発表した「My Starbuck's Barista」のベータ版はブランド自身が行うスマート化第2章のサービスです。デモの映像を見たところ、チャットボット機能を備え、アプリを通じて音声認識のチャットかテキスト入力で複雑なマニアチックな注文も受けられるサービスです。現在はテスト中ですが、夏から米国で本格的なサービスを開始するそうです。こうしたサービスでも始まるとあっという間に当たり前になってしまうのが今の世の中です。

ネット対応によってモノを単にスマート化すると考える発想から、スマート化はサービスの一要素だと理解する発想にシフトする中、ブランドはますますサービス・ファーストの思想を持たねばならないと感じます。

 

 

ビッグよりスモール

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広告界で知らない人がいないであろう往年のキャンペーンに「Thinkスモール」があります。米国で大型のビッグな自動車が主流だった1959年、まだ敗戦国のイメージが残っていたドイツの小型車フォルクスワーゲンですが、見かけよりも中身、人の生き方やモノの見方の差別化を見事に表したものでした。
データの世界はどうでしょうか。現在もてはやされているビッグデータは確かに貴重なインサイトを提示しますが、ウェブは私たちの本当の姿ではなく、それをキュレーションして理想化したものです。ビックデータとAIを活用すれば「パターンを見つけて何かを解き明かすこと」は人間以上のパフォーマンスを発揮すると思います。最適化はアルゴリズムにまかせるほうが良いでしょう。しかし、その発見の中に何を持ち込むか、それを行うのは人間です。

昨年出版されてマーケティング本として高い評価を受けているマーチン・リンドストローム著の「SMALL DATA」では、著者がロシア、中国、ブラジル、サウジアラビア、オーストリアなど各地に足を運び、様々な問いの答えを探しています。中国人はなぜベッドカバーを使わないのか。冷蔵庫に貼るマグネットに対するロシア人の愛着にはどれだけ大事なことなのか。ヨーロッパに住む10代の少女は毎朝6時から6時半まで何をしているのか……。ビッグデータでいっぱいになったプールの中では、人々の生活に関するヒントがたいてい日の目を見ずに埋もれているのです。たくさんのデータが得られるようになるとさらにヒントは埋もれてしまうに違いありません。

人は常に不可能なことを夢見てそれをできるようにすることを考えてきました。ブレイクスルーを目指すならば、意味のあるスモールデータを探してそれをビックデータと結び付けるほうがよさそうです。

 

来年のクリスマスプレゼント

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2016年も残り僅かとなりました。毎年この時期に思うことですが、クリスマスから大みそか、そしてお正月と1週間足らずで街の雰囲気は一変します。案外日本人は気持ちの切り替えが上手なのかもしれません。

さて、今年もデジタルマーケティングの動向においてめまぐるしい変化が起きました。米国ではいよいよ従来のTV広告費がデジタル広告費に抜かれる臨界点に達しています。今回は来年の見通しについてテクノロジーストラテジスト、マイケル・ウルフ氏が「WSJDive」で述べた業界の展望について一部をご紹介したいと思います。

まず、驚いたことは今後3年間でグーグルとフェイスブックが、デジタル広告に対する新たな支出1ドルのうち75セントをおさえるようになるとのこと。2社以外でもアップル、アマゾン、ネットフリックス、マイクロソフトなどいわゆる「デジタル門番」がますます富を増やしていくだろうと予想しています。コンテンツ発見を支配する一握りの寡占企業がさらに力を強めて、個々のアプリメーカーはコストの増加や、消費者の減少に見舞われるようになります。さらに驚いたことがあります。それはフェイスブックが今年中にウェブトラフィック全体でグーグルを追い越すとみられると述べたことです。インターネットの変化を象徴する事象ですね。大手は大手で大競争に見舞われているのです。

そんな中で皆が次に来ると仕掛けているジャンルがメッセージング・サービスです。ウルフ氏によれば過去半年間で大手はこぞって何らかのチャットボットやメッセージングアプリもしくはその両方を立ち上げているそうです。現状のボッドはまだ発展途上ですが、AIの進展とともに、情報検索、コンテンツ提供、Eコマース、アラーム設定、企業へのリクエストや意見など急速な進化が見込まれます。

消費者にいかに接近するか、来年も柔軟な気持ちをもって臨まねばなりません。

 

データとクリエイティビティのマリアージュ

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テレビコマーシャルを制作する際に、あるアドバタイザーはビデオコンテを複数案作り、それらを消費者テストにかけて、一番スコアが高い企画案をそのまま作ろうとします。一方、一切競合や事前テストも行わず、クリエーターのコンテ案から1案を選んで、ふさわしい演出にまかすアドバタイザーもいます。どちらとも限らないケースに応じた真ん中のアドバタイザーもいます。

昔からマーケティングがアート、サイエンス、フィロソフィの3要素を持つといわれる所以の一つ、その意味は昔も今も変わりないと思います。そして今、デジタルマーケティングの時代となって改めてデータの活用が話題となっています。どうすればより想像力にデータを生かすことができるのでしょうか。それにはいくつかのポイントがあります。シェアブリーの創業者タニア・ユキ氏によれば、

① 人々がほんとうに価値として見ているものは何か、「言っていること」ではなく、実際に「行っていること」から学ぶ。

② 人々がなぜシェアするのか、その理由を理解すること、たとえば「社会性がある」、「実用性がある」、「気持ちを動かす」、「語りたいストーリーがある」

③ 今、人々を動かしているコンテンツは何か、具体例を見ること、人々に刺激を与え共有されているコンテンツを具体的に見て①と②に結び付ける。

人々はカテゴリーによってさまざまな気持ちを持ちます。金融では「刺激を受ける」、小売りでは「幸せに感じる」、自動車では「興奮する」といったコンテンツを共有しやすいそうです。先日の米国大統領選挙でトランプ氏はあれだけマスコミからの批判があったにもかかわらず、人々に対して「あなたにとって変わることがいかに価値があるか」というメッセージを個別に届けることに成功しました。そして「投票直前の世論調査=言っていること」と「実際の投票結果=行っていること」の違いを生んだのです。

アマゾン流リアルとは

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今朝、小雨のシアトルに到着しました。東京より季節が1か月ほど進んでいて街ではコートを着ている人も多く見かけます。早速、ワシントン大学近くのユニバーシティビレッジにあるamazonbooksを訪ねました。オンラインショッピングの覇者であるアマゾンがどんなリアル店舗を作るのか前から楽しみにしていました。アマゾンのイメージからすると店舗の大きさは決して大きくなく、中に入ると名前の通りそこは「本屋」、それも「街の本屋さん」でした。

つぶさに見て回るとまず本の並べ方に特徴があることに気づかされます。雑誌を除くすべての書籍は表紙を前に向けておかれているのです。これは消費者が好む本の並べ方だそうで、その分多くの本を扱うことができません。そしてすべての本には消費者スコアとコメントがつけられているのです。人生のうちで読むべき100冊をはじめ、amazon.comで選び抜かれた書籍たちです。児童書のスペースを見ると子供が本を読むことの大切さを考えていることがわかります。

さて、街の本屋さんにはないものがお店の真ん中にあります。それは何でしょうか、さまざまなkindle、新しくなったECHO DOT、amazonTV、amazonfire、話題のスターウォーズBB 8などの展示と教室です。オフライン・オンライン連携も随所に行われています。たとえばクレジットカード利用の場合、amazonの会員にはスマートフォンにレシートがメールされます。

実は何よりも印象に残ったのがスタッフの親しみやすさでした。代官山の蔦屋、アップルストアスターバックスなどにも共通する匂い。アマゾンは顔が見えない代表格でしたが、リアルの店舗を作るとやっぱりこうなるんだと実感しました。2015年の売り上げが前年比20%以上、1千億ドルを超えたアマゾンですが、このお店ではアマゾンの凄さはむしろさりげなく居心地のよい場所になっています。

今回からブログを衣替えすることになりました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。