スティーブジョブズが56歳で亡くなりました。IT業界はもちろん、世界中の人々がその死を悼んでいます。生前ジョブズの人格はイエス・キリストにたとえられることすらあったそうです。ジョブズ氏は寓話やたとえ話で部下に教えることが多かったとのこと。たとえばこんな話があります。誰かが副社長に昇進した際には、必ず「清掃作業員と副社長の違いは何か」という話をしたそうです。(アップルは店舗以外の社員が25000人、そのうち副社長はたった70人)
清掃作業員がオフィスのごみを集めていないことに気づき、ジョブズ氏が理由を尋ねる。清掃作業員は「オフィスの鍵が変わって、自分には鍵を与えられていないから」と言い訳をする。ごみを集めることで生計をたてているものであれば、この言い訳は許容可能だ。ごみを集められない理由を言えばいい。だが、上級幹部になればそうはいかない。「きみが清掃作業員なら、重要なのは理由だ」「副社長になったなら、できない理由を言えばいいということにならない。そこにはルビコン川より深い溝が横たわっている。副社長になるなら、ルビコン川を越えなければならない」と。
アップルの厳しい企業風土は秘密のベールに包まれています。たとえばジョブズ氏は「シンプルさが明晰さを生む」として、責任感のある社風の浸透を心がけてきました。会議はメトロノームのように規則正しく行われ、毎週月曜にはビジネス全体についてレビュー、開発中の全製品について課題を出してそれを毎週行う、業績と戦略について話し合うとともに、最近の主なプロジェクトについて1つ1つ評価を行う、といった具合です。この会議は、全員が同じ意識を持つために続けている数少ないプロセスのひとつだそうです。
これからも強靭な意志を持って生きることが何より大切だという考え方はアップルには生き続けるでしょう。ジョブズがスタンフォード大学で行った名スピーチ、「Stay hungry, Stay foolish」、これこそ人間の原点だからです。
最後にアップルのTVCMを是非ご覧ください。ジョブズ氏自身もこの人たちの仲間入りをしたと思います。合掌。