Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

アメイジングを求めて

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あらゆるブランドが自分でストーリーを語りたがっています。コンテンツマーケティング的な考え方が一斉に拡がった結果、これもまた一気にコモディティ化しました。コンテンツがあふれる状況の中でコンテンツマーケティングはかなりのコストと労力がかかるようになってしまいました。

ところで、日本人の71.7%がこれは和食ではないという食べ物があるそうですが、皆さんはご存知でしょうか。それはラーメン、今やクールジャパンの代表格のひとつですね。IZA・NOWという番組で紹介された米国人ブロガ-のブライアンさんによる「Ramen Adventure」には一日2000人のアクセスがあるそうです。彼曰く「ラーメンのどんぶりの中にはストーリーがある。日本人の心意気が見えてくる」。外国人はラーメン以外の情報も求めているとのこと。ニューヨークタイムズのコラムに紹介された後は外国人が自分たちだけではアクセスできないラーメン店ツアーのガイドまで依頼されています。

コンテンツマーケティングを突き詰めるとどんどんニッチになっていきます。どうやったらオーディエンスを確保して拡げることができるのでしょうか。ひとつにはテーマの設定のしかただと思います。決して終わらない奥深さと国や地域を越えるパワーがあることです。そしてもっとも重要なことは常に新鮮な驚き、素晴らしい出来事、美味しいお店を発見したときの喜びと同じ感覚を共有できるコンテンツであることです。

コンテンツを何とか作ろうではなく、自分たちの生活や仕事におけるアメイジングをコンテンツ化していく、優れたコンテンツの意味をラーメンから学ばせてもらいました。

より人間らしく

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「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」とは有名なグーグルのミッションです。「モノを売ることではなく、お客さまが購買する決断を助けること」、これはアマゾンのコンセプト、いずれもシンプルでかつパワフルな言葉です。この2社のステートメントを見ているといずれも心のときめきと感じますが、実は両方ともテクノロジーがなければ誕生しなかった企業です。

テクノロジーはもともと世の中をより便利にするために生まれてきます。テクノロジーで何を解決したいのか、過去がそうであったのと同じくテクノロジーが進歩すればするほどそれはどんどん目立たなくなっていくでしょう。なぜならばテクノロジーとはあらゆることを人間らしくしていこうというのが大事だからです。

弊社の新社屋ではロビー近くにあるダウンライトがネット上の天気情報に連動して色が変わるようになっています。IoTの時代に入り、スマートホームをはじめ、デバイス、アプリ、センサーらが物理的に連動する新しい社会が誕生していく中、どこに人間らしさを求めていくのか楽しみでもあります。

第2幕スタート

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今世紀に入って広告制作は映像・プリント・デジタルと大きく3つのジャンルそれぞれ縦割りで行われてきました。それはそれぞれの媒体とセットになった制作プロセスを持つからです。ところがその中のデジタルは全体のインフラとなって「つながっているか」、「つながっていないか」のどちらかになりました。個人的には広義のデジタル(つながっている)はおそらく広告制作の50%を越えていくと予想しています。もはやデジタルは当たり前なのです。

もうひとつの変化はとんでもなく莫大なコンテンツの世界に突入してしまったことです。高品質とは何か、どんな制作活動が求められるのか、これまでより幅広いプロデューサー能力が求められる一方で、職人意識を持ったプロデューサーを維持しつつ、ニュースルームのようなコンテンツプロデューサーも増やしていかねばなりません。プロダクションのワークフローにより柔軟性と、より純度の高いチームワークが求められています。

こうした変化の中で創設当時はフロアこそ違うものの映像とインタラクティブが同じ社屋にいたのですが、その後スタッフの人数が増えて別々となってかれこれ10年が経ちました。そして2015年7月6日をもってビービーメディアはONE BBMEDIAとなってリスタートいたしました。改めまして皆さまどうぞよろしくお願い申しあげます。

湖でなく海

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キャンベルスープ20%、P&G30%、クラフトフーズ35%、これは昨年各社が米国内で投下した広告費全体の中でデジタルが占める割合です。もはやデジタルはCPGマーケターにとってもメジャーとなったどころか中心となりつつあります。

実はここに見落としている懸念点があります。ひとつは全体の広告費が増えているかどうか、増えていればよいのですが、そうでなければマス広告を減らしていることになります。TVを単純に減らしてデジタルに移行するのは危険だと思います。もうひとつはデジタルを増やして効果(ROI)がほんとうにあがったか検証できているかどうかです。費用対効果ではデジタルのほうが優れていると一般的に言われますが、これはターゲティングがしっかりできていることが前提です。これをはずすとデジタルはむしろ悲惨な結果を招きます。TVで20億から30億に予算を増やすこととデジタルで同様に増やすことは意味が違います。従来のTVは限られた枠があるのでボイスオブシェアは明らかに上がりますが、デジタルは基本的にどんどん広がっている枠のない世界なのであっという間に吸い込まれてしまいます。

デジタルは湖ではなく海なのです。

コンテキストの再定義

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ガンジー牛で作られた牛乳って脂肪分が濃いのに後味がすっきりしている」と知人から聞いてその時すぐさまスマホで検索、日本では200頭ぐらいしかいないことが記憶に残っていました。そして今朝のTVでガンジー牧場が紹介されると今度はパソコンのオンラインショップですぐさま購入。似たような経験は皆さんにもあるのではないでしょうか。

かつての広告は単一のコンテキスト(新聞か、ラジオか、テレビか......)の中に「割り込むもの」として存在し許容されてきました。しかし、スマホで商品のリサーチを始めて、パソコンで購入するというように消費者がほぼ複数同時進行で(マルチコンテキストで)メディアを消費する時代には、どういうコンテキスト(背景)で購買に至るかを把握し、それを導く情報設計がますます必要となっています。

さらに視点を変えてGMはスマートカーにおいて車とスマホをつなぐアプリを自ら開発するのではなく、プラットフォームをサードパーティに解放し、アプリストアを立ち上げました。GMは単なる自動車の製造・販売者ではなく、運転という体験のキュレーターになり、顧客およびパートナー企業との関係というコンテキスト(背景)を再定義したのです。

ブランドは単一ではなく複数のコンテキストをマッシュアップした独自の生態系を生み出し、消費者を多面的に巻き込んでいくことでより強固な関係性を築こうとしています。

缶の中の伝説

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数多くの食品パッケージでもっとも有名なモノは?マーケターならばおそらくキャンベルスープをまず思い浮かべるのではないでしょうか。20世紀のポップアート作家であったアンディウォーホルが描いたポスター「32個のキャンベルスープ缶」の影響も大きいと思います。

少しこの缶のパッケージラベルを見てみましょう。まず圧倒的存在感を表す上下半分ずつの赤・白ですが、これは1898年キャンベル社の幹部が見たフットボールの試合でカーネルの白と赤のユニフォームに魅せられて用いられました。上にある白抜きのキャンベルの独特な文字下にあるCONDENSEDは当時画期的な発明であった凝縮技術を謳っています。下半分の白地に赤で大きく書かれたTomatoの文字、これは中身を表します。最近では90種類もあるそうですが、今もトマトはトップ3。そして真ん中にある丸いシールは何でしょう。実は1900年パリの博覧会にキャンベル社はこのスープを送り、見事に金賞を獲得したことを今も誇りにしているのです。

どんなパッケージにもブランドの歴史が刻まれています。そこには古くて新しい発見があります。

凡庸になるな

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「にわとりが先か卵が先か」の議論は古今東西なされてきました。どちらともお互い必要なのにどちらが先かわからないことは世の中に多いものです。経営で言えば、組織が先か戦略が先かといったところでしょう。

さて、「良いチームが先か良いアイデアが先か」こう聞かれてあなたならどちらを選びますか?おそらくアイデアを選ぶ人のほうが多いのではないでしょうか。世界初の全編CGで作られた長編アニメトーイストーリーの生みの親であり、ディズニーアニメを復活させたピクサー社は「アイデアより人」という哲学を持っているそうです。共同創業者のキャットム氏によれば「良いアイデアを凡庸なチームに与えれば、そのアイデアを台無しにする。一方、凡庸なアイデアを優秀なチームに与えれば、アイデアをテコ入れするか、それをもっと良いアイデアで返してくれる」とのこと、御意ながら厳しい言葉ですね。

その根底にある考えは何でしょうか?「クリエイティビティとは問題解決力である!」というシンプルな考えです。