Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

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「推し」とブランド

昨年11月国連から世界人口が80億人を超えたとの発表がありました。この数字が多いのか少ないのかよくピンときません。では、地球上の全哺乳類のうち人間は何%ぐらいを占めているのでしょうか?調べによれば、35%が人間、60%が家畜、なんと野生動物は4%とのことです。人間と家畜でほぼ全部とは、、。人間だけが知性を持っていると思う尊大な人は少ないと思いますが、なぜ人間が他の類人猿や動物を凌駕して存在しているのかほんとうにわかっている人は自分自身を含めて少ない気がします。

今の人間(ホモ・サピエンス)ホモ属は240万年前~160万年前に地球上に登場し、火を使い始め、石器を発明し、狩りをするようになりました。ホモ・ハビリスにはじまりその後同じ祖先から約30万年前にネアンデルタール人、約20万年前に今の私たちの祖先であるホモ・サピエンスが誕生したと言われています。しかし、ネアンデルタール人は滅び、サピエンスだけが生き残ることができました。この理由についてはサピエンスは集団で生活し、移動し、苦楽の感情を持っていたからだと既に多くの本で語られている通りです。一緒に多くの人が生活し、助け合い、協力した結果として繁栄できたのはサピエンスに特有の知性があったからのようです。文字や言葉、宗教や物語はまさにこれにあたります。これらに共通なのは自分の心に意味を生成し「推し」ともいえるプロジェクション効果を作れたことだと思います。

人間特有の知性から生まれる「推し」は複雑でストレスにあふれた現代においてより重要であると感じます。映画や音楽からもらう勇気、分身として他者を一生懸命応援する喜び、未知の世界への探求、自然や身の回りにあるモノからの見立て、ポジティブな「推し」をたくさん見つけられる人は幸せのような気がします。ブランドにとってはユーザーの「推し」となる存在になることが強い絆やロイヤリティにつながります。単なるベネフィットを提供するだけでなく、ユーザーの心に何らかのプロジェクション(投影)が起こります。時間の経過とともにユーザーの認知や体験が「推し」を損なっていないか、一方、新たな「推し」を生み出せているか、「推し」の視点から自分のブランドを考察すると新たな発見があるかもしれません。

銀河鉄道999」、「宇宙戦艦ヤマト」などの作者、松本零士さんが先日亡くなりました。これから人類は松本さんが描いた宇宙に住もうと試みています。未知なる宇宙への探求(エトバスノイエス)もまたホモ・サピエンス特有の「推し」に他なりません。