先日、ビービーメディアの元社員がやって来た時こんな会話をしました。「エレベーターを出た途端、ビービーの匂いだと思わず感じちゃいました。」「えー、変な匂いでじゃあないよね?」「いやあ、なつかしい匂いです!」
皆さんも多くの方が気付いているように今、高級ホテルやエアラインなどでは香りをブランディングに利用しています。私は仕事柄ANAさんをよく利用しますが、ラウンジや機内ではいつも同じ他にないいい香りが漂っています。香りと記憶の結びつきはすでに証明済みです。ネガティブな体験と一緒に記憶された香りは時が経ても嫌悪感を引き起こしますし、逆に年少の時淡い記憶とともに嗅いだいい香りは大人になってもなつかしいものです。香りは強すぎてもダメというのも面白いですね。
10年ぐらい前からセンサリー・マーケティングと呼ばれる5感の刺激が消費者の行動にどのように影響するかをテーマにした研究が盛んになってきました。ブランドの記憶は嗅覚(香り)だけでなく、視覚(色や外観)、聴覚(音や声)、触覚(感触や体感)味覚(味や食感)と無意識に結びついています。さらにこれらが組み合わさってさらに強いものになります。
企業のブランディングを考えた時、5感のデザインを単にプロダクトだけにとどまらず、コーポレートにまで広げる必要があります。ユーザー体験をベースに事業を変革し、好業績を上げているペプシコのヌーイCEOは「当社が下す重要な意思決定の大半においてデザインを考慮に入れている」と述べています。
個性をポジティブに表すならばオフィスの匂いもまんざらではありません。