Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

強者には優しさが必要

f:id:bbmedia:20201127105835j:plain

熱狂的とまではとても言えませんがアップルとの付き合いは25年以上となりました。90年代初頭に購入したマッキントッシュとの出会いにはじまり、自宅からISDNで繋げてピーという音でインターネットを始めたのもマックからでした。初代iphoneを手に入れたのが今から13年前、以来6機種目となるのでだいたい2年で切り替えてきた計算になります。そして先日、満を持して5Gへの対応可となるiphone12を買い求めました。使い始めて大きく感じた前機種との違いは電源が長持ちになったこととカメラの性能が予想以上だったことでしょうか。

さて、iphone12にはもうひとつマーケターにとって注目すべきことがあります。ご存知の方も多いかと思いますが、最新OSであるiOS14を搭載した新機種はデータの所有権と主導権はユーザー側が持つという方向をより鮮明にしました。プライバシー設定メニューに新しくトラッキング項目が追加されて「Appからのトラッキング要求を許可」ボタンができたのです。これをOFFにするとユーザーのappを通じて収集された情報を第3者によって収集された情報と組み合わせてapp開発者がターゲティング広告に利用することができなくなります。

この動きに対してフェイスブックはデジタルマーケティングを支える自由なデータの流れを支持してアップルの排他的な性質を非難しています。確かに日本のようにiphoneのシェアが高い国で多くの人々がトラッキングを拒絶したら従来のターゲティング広告は80%パフォーマンスが落ちるとさえ言われています。アップルはユーザーのプライバシー保護機能を強化していく流れに沿ったうえで広告配信を行うだけでなく、警察がiphoneのロック解除を要請しても拒否する姿勢を取っています。

こうしたユーザーに対する保護姿勢の一方で、アップルのApp Storeについては独占的支配力が批判されています。App Store内での有料アプリの売上・アプリ内課金への高い手数料、ライバルのサービスへの妨害、などです。でもこちらはアップルに限ったことではありません。グーグルでは検索結果を自社サービスに有利に表示しているのでは? アマゾンではマーケットプレイスの情報からプライベートブランドを開発しているのでは? といった具合です。こちらはユーザーには見えにくく、かつ直接利害が生じにくい部分と言えます。

ビジネスを考える際「消費者が喜ぶことを追求する」ことを徹底して差別化した結果、独占的な支配力を持ったブランドはいわば成功者です。しかし、支配的な地位や力を持つと歴史を見れば明らかなように必ず驕りや強権が出てくるものです。

そういえば今年大ヒットしているアニメ映画の中に主人公の母親のこんなセリフがありました。

「強く優れた人の使命とは弱い人、困った人を助けること」そのために生まれてきたんだよ、と。

f:id:bbmedia:20201127110138p:plain