Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

実店舗の逆襲?

例年に比べて五月晴れがやや少ない気がします。それでも梅雨入り前のカラットした暑さとともにウィズコロナのギアが一段上がりました。2年間休止していた催しの再開や人数制限の撤廃などリアルが本格的に活発化しつつあります。

今年に入って米国では多くの人が在宅勤務や自宅での映画鑑賞を続けている一方で、ネットショッピングよりも実店舗の方が勢いを増していると言われます。マスターカードのレポートによれば、今年3月パンデミック到来初めてEコマースの売上高が前年同月比で減少し、実店舗の売り上げが増加したそうです。アマゾンのネットストア部門の売り上げは前年同期比で1%ダウン、2016年に業績公開を開始してから初めてとのことです。長期的に見ればまだネット販売が増えていく可能性は高いものの、現在はコロナによる大幅な伸びが修正されるモードに入っているのではと感じます。

ポストコロナにおいて消費者はネットショッピングと実店舗のバランスをより巧みに操っていくと思います。その際、基本となる考えは「時間の節約=ネット、買い物の楽しさ=実店舗」です。普通でいえばこれはトレードオフの関係なので今後も両方存続していくことになるでしょう。もちろん、ハイブリッドな組み合わせも増えると思います。ウォルマートは今後数年内で既存店舗に併設する小型の自動フルフィルメントセンターを100件増やす計画とのことです。これでネット注文品を店舗でより迅速に応じられるようになります。

ネットショッピングと実店舗について米国最大の百貨店メイシーズCEOのジェネット氏は次のような興味深い発言をしています。「そもそもお客様はお店が好きです。そして店舗はブランドにとって絶大なマーケティングツールになります。店舗が順調なら、デジタルも堅調となります。これは小売りにおいて今後も異論の余地はありません」これを聞くとバーチャルとリアルがよりシームレスになった今、10年前と違ってネットショッピングと実店舗を明確に分けるのは意味がなくなったと感じます。さらにリアルとバーチャルを含めてあらゆるタッチポイントでファッションとスタイルをキュレーションする力がデパートの強みであることを意識し、データを活用した顧客との関係性構築ができるようになった証拠とも言えます。実際に昔は年間100回もあったセールを大きく減らすと同時にパーソナライズしているそうです。たとえば サイトでグッチのアクセサリーを見て買い物かごに入れたにもかかわらず決済を完了しなかった人には同じオファーは送らず別のお得情報を提供するといった具合です。

小売りに限らず「データを利用して自分の顧客を知ること」はこれからのブランドにとってますます必須となりそうです。