Brighten Brand Note - BBmedia inc. 社長 佐野真一のブログ

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トレードオフと諦めない

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 東京よりも先んじて感染が起きたニューヨークではようやく自由の女神をはじめ屋外の観光名所が入場解禁になりました。でもいつも人混みで一杯のエンパイヤステートビルの展望台ですら海外からの観光客がいなくて閑散としています。

今、パンデミックによって世界中の多くの人々が「感染防止と経済活動の両立」という共通のテーマを持つようになりました。日本では先週からGOTOキャンペーンが始まりましたが、一方で感染第2波を思わせる感染拡大の様相を呈しています。専門家、医療現場、政府・自治体それぞれ意見がやや異なり、何を優先順位とするのかをもう一度示す必要があると思います。

さて、感染防止と経済活動を両立させるというテーマは消費者や社会にいったいどんな変化をもたらすか、第一は何といってもデジタルシフトです。人と人の接触を抑える点と人手をかけない効率的な仕事・生活を促進する点でデジタルは強く、このパンデミックが長引けば長引くほど一気に進むと思います。すでにDXブームが凄まじい勢いで起きていますね。次は衛生・健康の自衛シフトです。着用習慣がなかった欧米でもマスクは必須のエチケットとなりました。米国のウォールマート、ベストバイ、スターバックスなどでは来店客にマスク着用を義務づけるようになりました。また、サニテーションの意識が高まり、手洗いやテーブルの除菌励行までより習慣化していくと思います。第3番目は身近への関心シフトです。通勤時間の削減で生じた新たな時間をどう活用するか、行動範囲が狭くなった生活空間をいかにすれば楽しめるか、在宅勤務をいかに居心地よくするか、こうしたニーズは在宅勤務が一過性でなくなればもっと高まることでしょう。上記はブランドにとっていずれも新たな需要をもたらすビジネスチャンスと言えます。そして最後は自由と社会幸福の両立へのシフトです。自国第一主義や差別主義は感染問題を解決から遠ざけることがはっきりしました。また、暴力を独占する国家の危うさにも気づくこととなりました。今後、「他人に危害を及ぼさないことが私権の条件」、逆に言えば「誰でも他人に迷惑をかけないならば自由は守られる」という思想が再認識されるようになっていく気がします。

本来であれば東京オリンピックが先週末からスタートし、国内はもちろん世界中の人々がトップアスリートたちの競技や演技に毎日魅了されていたに違いありません。今回のパンデミックはおそらく今生きている人々にとって誰もが過去経験がない出来事です。答えをわかっている人はいません。感染防止と経済活動をトレードオフとせずに、ハイブリッドなチャレンジと考え、アラン・ケイの言葉のごとく「未来は予想するものではなく自らで創るもの」の気概を持ってやれることをしっかり実行していきたいものです。

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